年末年始の「ギックリ腰」や「寝違え」

2023.11.29

年末、年始になると、「ギックリ腰」や「寝違え」の患者さんが増えます。

12月は色々と気忙しい時期ですし、大掃除や買い出しなどで
「普段やらないこと」をすることが多くなりますし、
旅行や帰郷などで長時間乗り物に乗ることが増えたりすることもきっかけになっているのではないかと思います。

もしかしたらこのブログを読んでおられる方も、
急に痛めて、あわてて検索してきたのかもしれませんね。

タイミングによっては各種医療機関が「休診」で、自力でなんとかしないといけないこともあるかもしれませんから、
「急に痛めた場合の対処法」を書いておきますので参考になさってください。

(※タイトルは「ギックリ腰」、「寝違え」としておりますが、「急に痛めたもの」であれば同じように対処してください)

そして出来るだけ早期に、しかるべき医療機関でみてもらうようにしてくださいね。

 


ポイントは「キズ」があるか、無いか?

ギックリ腰でも寝違えでも、急に痛みが出た場合(起床時とか何かを持ち上げてとか)、

「内部で損傷」を起こしている可能性があります。

言い換えると、筋肉や軟骨、靭帯などに「キズ」が出来たということです。

「キズ」があれば、動かすと傷口が開くので痛みが出ます。

ですから、動かしてはいけません。

たまに、「〇〇が痛いんやったら動かした方がええで!」とアドバイスされ、その通りにして悪化する…というケースがありますので気をつけてください。

(※こちらの記事を参考に → 『ヒョウ柄を着た名医』 )

 

しかし「見た目」でキズがあるかどうかはわからないと思いますので、簡単な見分け方を書いておきます。


ズキっとした痛みがあるかどうか

ポイントの一つ目は、「ズキっ」という感じの痛みが出るかどうか、です。

鋭い、瞬間的な痛みが出る場合は、内部でどこかが傷ついている可能性が高いです。

たいていは、動作に伴う痛み(寝返り、立ち上がったり座ったりなど、動作の切り替えの時が多い)ですから分かりやすいと思います。

動作によって「キズ口」が開き、痛みが出るワケですから動かしてはいけません。

(※詳しくはこちらの記事を参考に → 動かすと痛い ~筋肉の場合~ )

 

ズキズキした痛みがあるかどうか

ポイントの二つ目は「ズキズキとした痛み」があるかどうか、です。

痛めてキズが出来た筋肉や靭帯、関節などは、その後「炎症」が出ます。

簡単にいえば「腫れてくる」ということです。

腫れてきて、熱を持ち、内圧が高くなってくるので「ズキズキ」痛みが出ます。

じっとして動かさなくても「ズキズキ」とした痛みが出る場合はかなりの重症と思ってください。

だから、動かしてはいけません。

まずは「炎症」を抑えることが重要になってきます。

(※ そういう方は、必ずこちらの記事を読んでください! → 応急処置の基本(RICE処置) )

 

上記の記事にも書いてありますが、急性期で炎症が強く出ている時には「アイシング」が有効です。

(※ こちらも参考に → アイシングにはどのくらいの時間が必要か?

 

しかしながら、1~2日の間、安静にするだけ、アイシングするだけで、痛みが消えることは稀です。

何度も書きますが、「キズ」が出来ているワケですから。

擦り傷、切り傷と同じように、キズがふさがって、きちんと修復されて、ちゃんと治るまでには、それなりの時間が必要です。

ギックリ腰や寝違えなども同じで、傷めた部分によりますが、

筋肉なら2~3週間、靭帯なら3~5週間、軟骨を含めて関節ならそれ以上の時間が修復にはかかります。

(「修復」にかかる時間ですので、痛みはもっと早期に取れる場合が多いです)

 

「すぐに痛みが消える方法は無いの?」と誰しもが考えるのですが、残念ながら魔法のように治る方法はありません

「抱えられて行ったのに、治療してもらったら歩いて帰ることが出来た!」みたいな話もありますし、当院でもそういうことは珍しいことではないのですが、「痛みがゼロになる」ということはあり得ないです。(切り傷がその場で治る!みたいなことはあり得ませんから)

 

ですから、しつこいようですが「無理に動かさないこと」が重要です。

急性期に、動かすことで痛みが消えることはありません。(マシになった気がする程度のことが大半で、動かすことで良くなることは、まずないです)

 

よくあることなのですが一番良くないのは、患者さん自身で、あれこれ動かして「痛みを確認」しちゃうことです。

「曲げると痛いな」とか「伸ばすと痛いな」とか、自分で痛いことを再現しちゃったりしてます。

これはつまり「自分で傷口を広げてる」ということになりますので、余計に悪化させてこじらせてしまうかもしれません。

 

あと「お風呂」ですが、上記のように「炎症がある」「腫れている」という状態ですから好ましくありません。

(※ こちらの記事に詳しく書いてます → お風呂に入っても良いですか? )

「温めると痛みがマシになるような気がする」という程度のもので、「痛みがゼロ」になることはありません。

 


当院では、まず「こじらせないようにする」、「医学的に順当な期間で治す」ということを、急性期(痛めてすぐの時期)には考えます。

「ズキっとした痛み」や「ズキズキする痛み」が消えてきたら、ある程度「キズ口」が修復されてきたと考えられますが、すぐに動かすのではなく、状況によっては「リハビリ」を行います。

そして「何故、痛めたのか?」という根本的な原因を探して(骨格的な問題、筋肉の問題などが多い)処置を行っていきます。


傷めてすぐの「急性期」には動かさず、何とかその場をしのぐしかないかもしれませんが、

傷める身体には、それなりの原因があります。

単に「その場しのぎ」で済ませずに、しっかりと治していきましょう。


こちらも参考に → 朝、起きると首が痛い…。