応急処置の基本(RICE処置)

ある患者さん

2日前に足首をひねったとのこと。

市販のハップ剤(サロン〇ス)を貼った状態で来院。

痛みはマシとのこと。(すごいぞ!サロン〇ス!)

ですが、サロン〇スでは受傷直後から発生する炎症を抑えることはできません。

 

この方だけじゃなく、応急処置として何をすべきか?何をしたら良いのか?というのがあまり知られていないこともあるみたいなので、書いておきます。

 

捻挫や打撲などのケガをした場合、まず以下の4つのことを行ってください。

 

①動かさない

②冷やす

③患部を押さえる

④患部を挙げる(心臓よりも高い位置に)

 

これらは応急処置の基本でして、

①動かさない(安静:REST)

②冷やす(冷却:ICE)

③押さえる(圧迫:COMPRESSION)

④挙げる(挙上:ELEVATION)

の頭文字から「RICE処置」と呼ばれています。


①安静:REST

ケガの場合、患部は傷ついています。

動かしてしまうとその傷口はさらに拡がる可能性がありますので出来るだけ動かさないようにしてください。

そして必要以上に「痛みの確認をする」のは避けてください。

どういう事かと言うと、痛めてしまった方のほとんどは

「どういう風に動かしたら痛みが出るのか?」

「どういう姿勢を取ると痛みがますのか?」を探そうとします。

「曲げると痛いぞ」とか「伸ばすと痛いぞ」とか、自分で痛みの出る動作や姿勢を確認しちゃうんですね。

傷口が開いた時に痛みが出ますので、痛みの確認をするたびに傷口を開いているということになり、さらに悪化させる可能性があります。

 

出来るだけ傷口が早く修復されるようにするために包帯やテーピングなどで固定が必要な場合もあります。

 

②冷却:ICE

冷やすのは必ず「氷」で冷やすようにしてください。

アイス〇ンなどの保冷剤は「凍傷」を起こすことがありますので(タオルなどを巻いても)、ビニール袋に氷水を入れて「氷嚢」を作り、それで冷やすようにしましょう。

損傷した直後は毛細血管などが破れてしまいますので、冷やすことで損傷部の出血を抑えるようにします。

③挙上:ELEVATION

損傷部には血液が集まってきて内圧が上昇するので、圧を下げるために「患部を心臓よりも低い位置にする」というのが理想的です。

(しかし傷めた部位によってはそれが出来ないところもあると思いますので臨機応変に)

 

④圧迫:COMPRESSION

上記のように損傷部は内圧が高くなりふくらんできます。膨らみ過ぎると傷口が開きすぎちゃいますので患部は圧迫する必要があります。

包帯、テーピングなどを損傷部周囲に巻き、局所に集まった血液、リンパ液などを周囲に「散らす」ように圧迫を加え、局所の内圧を下げます。

(適切な圧迫、固定処置は自分で出来ないかと思われますので、医療機関などでの処置をしてもらうほうが無難でしょう)

 

以上が「応急処置の基本」となります。


あくまで「応急処置」です。これで痛みや機能障害がすべて解決するわけではないんですよね。

応急処置をした後の処置が重要になります。

 

出来るだけ早期に、整形外科などでレントゲン写真を撮ってもらうようにしましょう。

(当院においても、応急処置後に提携の整形外科病院をご紹介し、骨折の有無などを検査していただくようにしています。)

きちんと処置を受けておかないと、いつまでも痛みが残ったり、痛め癖がついたりします。

筋肉や靭帯は「線維状構造」をしていますので、うまく修復されず乱れた線維配列のままかたまってしまうと予後が悪くなるケースが多いです。