肉離れと「カニかまぼこ」

今回は 「肉離れ」 についてのお話です。

 

スポーツをされている人や、運動会で張り切って走っちゃったお父さんなどによく起こります。

足首の「捻挫」と並んで、キチンと治さないと「クセになりやすい怪我」です。

 

~筋肉の基本的な解剖学~

筋肉は「筋線維」が束になって集まったような構造をしています。

『カニかまぼこ』みたいな感じです。

その線維が断裂してしまったのが「肉離れ」です。

ブチッと完全に切れてしまうこともあれば、小さいレベルで裂けるように切れてしまうこともあります。

 

筋肉は「筋線維同士が滑走し、筋肉全体を収縮させて関節を動かす」という働きをしてくれています。

筋線維同士のスキ間にはヒアルロン酸入りの液体があり摩擦を減らして滑走しやすくしてくれています。

筋線維の束は「筋膜」という膜で包まれていて、筋線維と筋膜の間でもヒアルロン酸入りの液体が摩擦を減らしています。

「筋線維間潤滑」とか「筋膜潤滑」という考え方です。)

 

筋肉に引っ張り応力が加わった時に、筋線維が硬くなって伸びにくかったり、筋線維同士の潤滑がうまくいかない時に

切れたり、裂けたりして肉離れは起こります。

(カニかまぼこが裂けたような感じです。)

 

切れたり裂けたりしたところには「スキ間」が出来ますので、そこを埋めてあげればつながって治るわけです。

そのスキ間を埋める「糊」の働きをするのが「コラーゲン」です。

 

コラーゲンという糊が、切れたところ、裂けたところをきれいにつなげてくれれば「きちんと治る」わけですが、

きれいに元通りに修復されることは難しいと言われています。

多くの場合、「筋線維の配列」が乱れてくっついたり、コラーゲンが埋めたスキ間の部分で「浮腫」が起こってくっつきにくい状態のブヨブヨの組織になったり、「線維化」して硬い組織になったりします。

上記のような状態だと「筋線維同士の潤滑」がうまくいかず、収縮した時に切れやすいため「クセ」になりやすいわけです。

 

クセになるのを防止するためには

筋線維の配列が整っていて、ブヨブヨではなく、柔軟性をもって引き締まった筋肉

になるように修復されないといけないわけです。

 

~肉離れの治療法の例~

肉離れを起こした直後からアイシングをして炎症を抑え、局所の筋線維配列が整うように「層状圧」を加えるようにします。

「層状圧」は、手で、やさしく、何度も何度も撫でるように、加えます。

反復して加えられた層状圧が、局所に溜まった浮腫液を周囲に散らし、筋線維の配列を整えてくれるわけです。

(力加減が難しいかも。自分でされる時にはベビーオイルやパウダーなどをつけて皮膚との摩擦を減らしておくと良いでしょう。)

 

その他、ローラーみたいなものを使うと良いでしょう。

(当院では下の写真のようなローラーを使っています。)

 

「肉離れ」は必ず「クセ」になるものではありませんし、

「クセ」になってしまっていても、回復は見込まれます。

 

運動不足のお父さん、来年の運動会ではお子さんに良いところ見せられるようにしましょう。

 


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