ギックリ腰について

こちらの記事は「ギックリ腰」についての基本的な知識を書いています。

「痛めてすぐ」の方や、

「今すぐ何とかしたい!」という方は、こちらの記事をお読みください。 ⇒ ギックリ腰、寝違え、その他「痛みが急に出た場合」の注意点

 


急性腰痛について

いわゆる「ぎっくり腰」は、欧米では『Hexenschuss(魔女の一撃)』などと呼ばれ、突然の激烈な痛みで身動き取れなくなった状態を言います。

「突然、急に、腰が痛くなったらギックリ腰」なので、正式な診断名ではありません。

 

「突然、急に腰が痛くなるもの」にも色々あって、どこを痛めたのかによってザックリ分けると以下のようになります。

      1. 筋肉の障害
      2. 靱帯の障害
      3. 関節包の障害
      4. 軟骨の障害
      5. 椎間板の障害
      6. 骨の障害

1. 筋肉の障害

多くはこれに当てはまります。筋肉が硬く伸び縮みしにくくなっている時に、動作によって筋肉が引き延ばされたりして筋肉を痛めてしまったものと考えられます。(大雑把な言い方をすれば「腰の筋肉の肉離れ」と言えます。)

筋肉が硬くなる理由も様々で、疲労によるもの、過緊張によるもの、筋肉線維の退行性変性(硬くなってもろくなる)などが挙げられます。

「筋筋膜性腰痛」などと呼ばれます。

 

 

2. 靭帯の障害

腰椎は5つあり、これらの骨を連結するために靭帯が存在します。靭帯も線維構造をしているので、これら「伸ばされ過ぎる」「切れる」「裂ける」などの痛め方をしたものです。別の言い方をすれば「腰椎部の捻挫」ということになります。

ご存知だと思いますが、「捻挫」ってキチンと治しておかないと「クセ」になることがあります。

何度も何度もギックリ腰を起こす人は問題が靭帯にまで進んでいる可能性があります。

 

3. 関節包の障害

腰にも関節があります。「腰椎と腰椎との間の関節」なので「椎間関節」と呼ばれます。

その関節は「関節包」という袋に包まれていて、袋の中には「滑液」という潤滑油の役割をする液体が入っています。

「関節包」は軟らかい袋なのですが、これが加齢によって柔軟性が低下して硬くなると痛めやすくなります。

 

4. 軟骨の障害

上記のように腰にも「椎間関節」という関節がありますので、そこには「軟骨」が存在します。

軟骨は、潤滑油の役割をする「滑液」と共に、関節が動く時の摩擦をコントロールしています。

加齢や運動不足などで滑液が少なくなったり、軟骨がもろくなったりするとスムーズな関節の動きが出来なくなって(ギシギシ動くイメージです)軟骨を痛めてしまいます。

 

筋肉や関節包、靭帯はレントゲンには写りません。ですからギックリ腰になった時にレントゲンをかけて「異常なし」と言われた場合は「骨には異常なし」ということなので、筋肉や関節包、靭帯の問題として扱われます。

軟骨は正常ではほとんど写りませんが、「石灰化」したものや「変性」したものは写ることがあります。いずれにしても「老化」のあらわれで、痛めやすい状態ですので、あんまり良い状態とは言えません。

 

5. 椎間板の障害

腰椎と腰椎の間でクッションの役割をしているものが「椎間板」です。

椎間板も軟らかい組織なのですが、加齢や運動不足などによって柔軟性が低下して硬くなってもろくなります。

もろくなった椎間板が潰れてはみ出してしまったものが「椎間板ヘルニア」です。

 

ギックリ腰でレントゲンを撮った時に

「腰椎と腰椎の間が狭くなってきてるね〜」などと言われることがあります。

そういう場合は上記のように

「軟骨がすり減ってきている」か

「椎間板がへしゃげてきている」ということになります。

 

6. 骨の障害

レントゲンを撮って「骨に異常が見つかる状態」です。

「腰椎の骨折(圧迫骨折とか言われます)」か「変形性腰椎症」が代表例となります。

高齢(最近は高齢者だけではないですが)の方で「骨粗鬆症」などがあると起こしやすいです。

 

稀に「癌の腰椎転移」もあり、注意しなければなりません。

 


以前のブログにも書いたのですが運動器系の障害は、

上記のように「筋肉」から始まり、徐々に進行して最終的には「骨の障害」となります。(放置しておくと)

何度も何度もギックリ腰を起こしている方が、「最初の頃は筋肉をもんでもらったら楽になってたけど、最近はもんでも楽にならない」と言われることがありますが、これは筋肉の問題から徐々に進行して「変形性腰椎症」に近づいている可能性があるということです。

 

ひとことで「ギックリ腰」と言っても、「どこを痛めているのか?」ということで治療法も予防法も変わります。

 

いずれにしても痛めてしまうということは「許容値が少ない」ということになりますので、何らかの形で「身体を強くする」ということを考えなければなりません。

 

・・・ということを書くと、「運動すれば良いのか」という発想になるのですが、自分の身体に見合った負荷にしなければ効果は出ませんし、やり過ぎると痛めてしまいます。

運動の仕方も説明すると長くなるので(笑)

またの機会にしときます。

 


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