眼精疲労ってどんなもの? どうしたら良くなる?

今回は「眼精疲労」について書きます。

パソコンやスマホの普及、夜型への生活習慣の変化などで、目を酷使する現代人に増えてきているものですが、なかなか良くならないとお困りの方も多いようです。

 

「眼精疲労」は単に目が疲れた感じがするだけでなく、 「眼がぼやける」「眼が痛い」、「充血する」、「眼が重い」、「しょぼしょぼする」、「眩しい」、「涙が出る」といった症状が出ることが多いのですが、

その他にも、

●パソコンやスマホをずっと見ていると、目が疲れるだけでなく、目や首、肩甲骨周りの筋肉が凝ってくる。

●首こりや肩こりがひどくなると、頭痛や吐き気、めまいなどの自律神経失調症状も出てくる。

●ときには「目の奥」が痛くなる。

●眼科でみてもらったり、目薬を使ったり、ビタミン剤を飲んだりしてもなかなか治らず、蒸しタオルで目を温めたり、目に良いとされるブルーベリーを食べたりしても改善されない。

…という方も多いようです。

 

「眼精疲労」の症状は多岐にわたりますが、「眼の症状」と「それ以外の症状」に分けて考えると対処法が見えてきますので、順を追って整理していきましょう。

 


眼精疲労とはどんなものか?

眼精疲労とは、視作業(眼を使う作業)を続けることにより、以下のような症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態をいいます。(参考:公益財団法人 日本眼科学会 )

 

【眼精疲労の症状】

1)眼の症状: 眼の痛み、かすみ眼、疲れ眼、まぶしさ、充血など

2)全身併発症状: 肩こり、首こり、筋肉のこわばり、リラックスできない

3)よくみられるその他の併発症状: 頭痛、吐き気、めまい、自律神経失調症

 

眼の症状の原因は、度の合わない眼鏡の使用、加齢によるもの(老眼)、緑内障・白内障、ドライアイ、パソコン・スマホなどの見過ぎなど、眼に負担をかけることが挙げられます。

そして、それらが「眼そのもの」の病気を引き起こして「眼の症状」がみられるのであれば眼の治療が優先されます。

しかし、肩こりや首こり、その他の併発症状は、「眼が原因」となっている症状とは言い切れません。

肩こりや首こりは、「頚椎や頚筋が原因」となっているものが多いのです。

 

眼精疲労を起こしやすい姿勢

 

例えば、パソコン、スマホを見ていれば、当然「目に負担」がかかります。それは「目の症状」につながるでしょう。

そして、パソコン、スマホを見る時の姿勢が悪かったり、長時間になれば「頚椎や頚筋へ負担」をかけることになります。それは「首や肩」の症状につながると考えられます。

 

要するに、パソコン、スマホを見るということは、目にも首にも同時に負担をかけているということです。

 

同じ患者さんに「目の症状」と「首こりや肩こりの症状」が出ているからといって、「目の治療だけ(あるいは首や肩の治療だけ)」をしていても、両方が治るとは言えないかもしれないわけですね。

 

このような場合、眼の治療と頚椎や頚筋の治療を分けて行なう必要があります。


眼精疲労で感じる首こり、肩こりの原因

 

下記は、眼精疲労の方によくみられるコリや痛みの出現部位です。(赤い点、丸で示したところ)

 

筋肉が硬くなり過ぎてコリとなり、硬くなっているところ以外にも症状を出すようになるものは「トリガーポイント」と呼ばれます。

特に「後頭下筋(一番下の図に示された筋肉)」は、「眼球運動と連動して動き、頭を支えて姿勢を保持する」という役割を持っているので、上述のようなパソコン、スマホを見る姿勢では強く負担を受けやすいところです。

 

(参考文献) 平良 眞也, 目島 直人, 神山 寛之, 後頭下筋群が衝動性眼球運動に及ぼす影響について, 理学療法学Supplement, 2009, 2008 巻, Vol.36 Suppl. No.2

 

 

「後頭下筋」は硬くなり過ぎると、こめかみや目の奥に痛みを出し、目に症状が無い人でも「肩がこり過ぎて頭痛が起きる」とか、「肩がこり過ぎて吐き気、めまい」という症状を訴えることが多い筋肉です。

 

※ こちらの記事も合わせてお読みください → NHK「ガッテン!」で紹介  ~後頭下筋群~ 


眼精疲労でみられる自律神経失調症状の原因

 

吐き気、めまい、耳鳴り、起立性低血圧などの自律神経失調症状は「精神的ストレス」が悪化要因とされています。

しかし、「ストレス」には「物理的ストレス」があり、神経は「圧迫ストレス」や「牽引ストレス」に弱い組織です。

 

「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」など、神経を圧迫することで痛みや神経の機能障害を呈する疾患は有名ですが、「自律神経」も同じように、圧迫ストレスや牽引ストレスによって機能障害を起こす恐れがあります。

 

下図は自律神経のうち交感神経節の位置を示しています。

ご覧になると分かると思いますが脊柱(せぼね)に沿って位置し、交感神経節を経由して全身の臓器、血管に分布します。

これはいわば「交感神経の根っこ」に当たる部分ですので、もしも脊柱の歪みや捻じれが発生すると、神経が圧迫されたり引っ張られたりして傷みやすくなります。(これが自律神経失調症状の原因となる可能性があります)

下の図は首の横を通る自律神経(交感神経)の様子です。

頚椎(首の骨)のすぐ横に位置していますので、

首の骨のズレや歪み、首の筋肉の硬さによって、圧迫や締め付けのストレスを受けやすいのです。

頚部交感神経節は頭部、顔面だけでなく、広い範囲で分布しますので圧迫や締め付けによって、

首こり、肩こり、めまい、ふらつき、頭痛、耳鳴り、うつ症状や不安感、など様々な症状が出現します。

【参考文献】胸郭出口症候群の自律神経障害 ~臨床的・基礎的側面~北村歳男、山鹿眞紀夫、井出淳二、高木克公(熊本大学医学部整形外科教室)、診療新社

 


 

このように、「眼精疲労」でみられる症状が全て「眼の問題」からくるとは限りません。

まず、お困りの症状を、「眼の症状」と「眼以外の症状」に分けて治療法をみつけていくようにしましょう。

以下は、治療の一例です。

肩こり、首こりや頭痛、めまいなどの自律神経失調症状が強くあらわれている方に、よくあてはまる治療です。

 


後頭骨下筋群への治療の例

 

 

(お困りの方は、初回の無料カウンセリングをご利用いただくと良いと思います。問診、各種スクリーニングを受けていただいた後、治療法、治療の組み立てをご相談させていただきます。尚、初回カウンセリング時の治療は行っておりませんのでご了承ください。)


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