なぜ肩がこり過ぎると頭痛が起きるのですか? ~緊張性頭痛~

肩こりや首のこりが強くなると頭痛がする。

後頭部やこめかみの辺りが締め付けられるように頭が痛む。

時には目の奥まで痛みを感じる。

 

このように、こめかみの筋肉や首すじ、肩甲骨の周りなどの筋肉が硬くなって起こる頭痛は「緊張性頭痛」と呼ばれます。

 

筋肉が硬くなる理由は様々ですが、加齢、疲労、ストレスによる過緊張、運動不足などが挙げられます。

特に、現代人に多い長時間の同じ姿勢、運動不足による筋力低下とそれに伴う易疲労性は、筋肉に疲労が蓄積してどんどん硬くなっていき、コリも頭痛も慢性化する要因となっています。

そして、ストレスによる過緊張が加わると、徐々に脳の痛みの感じ方が過敏になり、緊張性頭痛は長引きやすくなってしまいます。

 


さらに、緊張型頭痛は発生頻度によって

●稀発反復性緊張型頭痛:3か月を超えて、平均1か月に1日未満の頻度で出る頭痛

●頻発反復性緊張型頭痛:3か月を超えて、平均1か月に1~14日の頻度で出る頭痛

●慢性緊張型頭痛:1か月に15日以上の頻度で出る頭痛

の3つに分けられます。

 

緊張型頭痛の診断は「国際頭痛分類」に基づいて診断されます。以下、診断基準の要約です。ご自身に当てはまっているかチェックしてみるとよいでしょう。

 

【緊張型頭痛の診断基準】(国際頭痛分類第3版による)

〇 頭痛は30分~7日間持続する

〇 頭痛は以下のうち少なくとも2項目を満たす

・両側の頭痛

・圧迫感があったり締め付けるような頭痛

・軽度~中等度の頭痛

・歩行や階段の上り下りなどの日常の動作で悪化しない

 

〇 以下の両方を満たす

・「慢性緊張型頭痛以外」の場合

 吐き気がない光過敏や音過敏があってもどちらか一方のみ

・「慢性緊張型頭痛」の場合

 光過敏、音過敏、軽度の吐き気があってもいずれか1つのみ中等度の吐き気はない

 

〇 その他の疾患によらない(他の病気からくるものではないということ)

   (参照:日本頭痛学会「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版」

 


 

「緊張性頭痛」は筋肉の硬さ(コリ)から起こりますが、コリが強く、深くなると、筋肉の硬くなることで神経が締め付けられ「神経痛」を起こすことがあります。

以下、そのメカニズムについて簡単に説明しておきますね。

 


【緊張性頭痛に関与する筋群】

 

これらの筋群がコリ過ぎると、緊張性頭痛が起こりやすくなります。

 

 

【頭痛 ~大後頭神経への影響~】

首から後頭部にかけて「大後頭神経」という神経が通っています。

頚椎と頚椎の間から出て、上述の筋群を通って皮膚の方へ分布します。

首すじの筋肉が硬くなり過ぎると神経を締めつけてしまい、その神経領域に痛みが出るようになります。

(大後頭神経痛と呼ばれることもあります)

 

緊張性頭痛を治すためには、上記の筋群が硬くなり過ぎないようにしておくことが重要です。

筋肉をやわらかい状態に戻すには、やはり運動が一番有効です。

【肩こり頭痛を予防するストレッチ】

 

 

● より詳しいストレッチ体操の方法はこちらの記事も合わせてお読みください。

→ 自宅で出来る肩こり解消ストレッチ ~肩甲骨はがし・筋膜リリース~

 

● ストレスによる筋肉のこわばりを改善する筋リラクセーション法についてはこちらの記事をお読みください。

→ ストレスによる肩こり、首こりの解消法 ~自宅で出来るセルフケア 筋リラクセーション法~

 

 

【肩こり頭痛に用いられるお薬】

緊張性頭痛に対しては、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニン)などの痛み止めなどが処方されることが多いです。これらが有効でない場合には筋弛緩薬が用いられることもあります。

漢方薬では、有名な「葛根湯(かっこんとう)」が使われることが多いです。首筋の後ろの筋肉が硬くなり、のぼせも感じる時には葛根湯が適しているでしょう。

 

【肩こり頭痛を予防するにはどうすれば良いですか?】

筋肉が硬くなってこり過ぎないような工夫が必要です。

コリは筋疲労の結果でもあるので、疲労の蓄積を防ぐために、不良姿勢をあらためる、仕事中にも適度に休息を取る、十分な睡眠などが必要となります。

枕が合わず、首こり、肩こりを起こしている場合もありますので、枕の高さ、硬さを工夫することで改善されるケースも多いです。

※ 枕の高さについては下記記事も合わせてお読みください。

→ シンデレラのまくら

→ 今晩から出来る「背骨の歪み解消法」

ストレスによる筋肉の過緊張もコリを悪化させる要因になりますので、ご自身に合ったリラックス法を生活の中に取り入れることも肩こり頭痛の予防になるでしょう。

 

上記でも改善しないような場合は以下の記事も合わせてお読みください。

→ なぜ肩がこり過ぎると頭が痛くなるのですか? ~なかなか治らない緊張性頭痛~