頸椎配列異常(アライメント異常)による諸症状

頚椎の配列(アライメント)異常は臨床的によく確認されるものです。

俗に、「首の骨がずれてる」とか「首が曲がってる」とか言われているものです。

 

首の骨がズレているというのは、真っすぐ並んでいない積み木と同じです。

不安定になっている状態ですから、頚椎の周りの組織(筋肉、靭帯、椎間板、椎間関節、神経など)に負担がかかり、場合によっては周囲組織の損傷を起こす事もあります。(寝違え、筋違えやむち打ち損傷など)

この部の配列異常は、肩こりなどの筋肉の症状や、関節の可動域制限、神経系への機能障害など様々な症状を惹き起こします。

最近、よく耳にする「ストレートネック」も頚椎配列異常のひとつですし、「左右の肩の高さが違う」というのは、頚椎の土台が傾いているということなので頚椎に異常を起こしやすい状態です。

 

レントゲン写真を撮った時に、「首の骨がずれている」とか、「軟骨がすり減っている」などと言われるケースがありますが、これは「頸椎配列異常(アライメント異常)」のあらわれで、経年的変化で様々な重篤症状を引き起こす可能性があります。

進行すると「変形性頚椎症」や「頚椎椎間板ヘルニア」、「頚部脊柱管狭窄症」などを起こしやすく、ズレを起こす場所によっては「自律神経失調症」の原因となることもあります。

 

 


頸椎配列異常による諸症状

頸椎の配列異常とは単に「並び方が悪くなっている」というだけでなく、以下のような症状が出てきやすくなります。

● 頸椎椎間関節の機能不全 (動かすと痛みが出たり、詰まった感じがする)

● 頸椎側筋群の内圧分布の異常 (筋内圧が高くなり、肩こり感や首こり感が出やすくなる)

● 神経線維のインパルス伝導障害 (頚部が出る神経が障害され、頭痛や腕のだるさ、痺れなどが出やすくなる)

● 頚部運動障害 (首の動きが悪くなる)

● 頚椎全体の不安定性 (ズレや歪みが発生しやすく、寝違えや筋違えを起こしやすくなる)

● 頚部外観上の問題(ストレートネック、首が曲がって見えるなど)

 

これらの頸椎の問題は、「変性疾患」に分類される「椎間板ヘルニア」や「変形性頚椎症」などの前段階であると考えられ、出来るだけ早期に克服する必要があります。

 

※ 姿勢の悪さ、ストレートネック、首が曲がっているかも? などが心配な方は以下の記事もお読みください。

→ 基本に戻って「姿勢」のことを考える ~悪い姿勢を続けているとどうなるのか?~

 

首の骨がズレていると、肩こり、首こりの原因になりやすい

頚椎配列の異常による症状として多くみられるものは、筋肉の症状(いわゆる「肩こり」、「首こり」)で

以下のような筋群に硬化、線維化などを起こしやすくなります。

 

これらの筋群は、頚椎に付着しており、配列異常により筋緊張、過収縮が起こりやすいためです。

このような場合、筋肉のマッサージやストレッチだけでは完治しづらく、頚椎配列の正常化を含めた治療戦略を立てる必要があります。

 

後頭下筋群

 

頭半棘筋

 

頚板状筋

 

頭板状筋

 

肩甲挙筋


肩こり、首こり、腰痛などの原因 ~骨格軸のズレ~

肩こり、首こり、腰痛など、筋肉が硬くなって起こる原因は「加齢」、「運動不足」、「筋疲労」などが考えられていますが、「軸のズレ」も考慮しなければなりません。

脊椎のズレは以下のようなメカニズムで「筋肉の過緊張」、「筋硬化」を惹き起こします。

 

 

上の図はバランスの取れた人の形モデルです。

背骨が真っすぐであれば、左右の筋肉のバランスも良好です。

 

もっとモデル化してみると下の図のようになります。

黄色い矢印点線を「背骨」に見立て、左右の赤線は付着している「筋肉」を表しています。

軸が真っすぐならば左右の筋肉も同じ長さになりますので、筋肉の緊張度は同じです。

 

 

軸がずれた状態(歪んだ状態)は下の図のようになります。

軸の位置がずれると左右の「辺」の長さが変わります。

この図では軸の位置が右にずれる事によって、左の「辺」が長くなります。

 

左の「辺」を筋肉とするならば、この場合は筋肉が引き伸ばされることになります。

筋肉は引き伸ばされると「緊張」しますので、軸が元の位置(正常な位置)に戻らない限り

常に「緊張」した状態になり、筋肉は硬くなってしまうということになります。

 

実際には軸のズレはもっと複雑です。

あるところは右へ、あるところは左へ、そして捻じれが加わったりと、かなり複雑な形になります。

 


首の骨がズレると頚性めまいの原因になりやすい

頚椎には脳を栄養している動脈(椎骨動脈)が通っており、頚椎の配列異常によりこれらの血管が圧迫や牽引のストレスを受け、「高血圧」や「血圧性めまい」などの症状を呈する可能性があります。

しかし、通常の検査では「異常なし」と言われ、対処することなく長年にわたって苦痛を抱えたままという方が多いようです。

臨床的には長年続く肩こり、首こりなどの症状も合併し、頸椎の配列異常が起きた頸椎周囲の筋群は過緊張を起こし阻血状態となり、長年の阻血状態によって出来た「トリガーポイント」によるものであると考えられます。

重度になると単なる肩こり症状だけでなく自律神経失調症や頚性うつなどをも惹き起こすこともあると言われています。

(※自律神経失調症状でお困りの方はこちらの記事もお読みください → 自律神経を整える ~背骨と自律神経の関係~ )

 

首の骨がズレると「自律神経失調症」を起こしやすい

頚椎の横には「交感神経節」が通っています。

頚椎の配列異常によりこの部に圧迫や牽引などの「物理ストレス」が加わり、

自律神経の働きが悪くなることがあります。

自律神経は全身に分布していますので、めまい、ふらつき、吐き気、頭痛、異常発汗など様々な症状を起こします。

これらは「自律神経失調症」と呼ばれ、頚性うつ、頚性神経筋症候群の身体症状として知られています。

 

 

【参考文献】

胸郭出口症候群の自律神経障害 ~臨床的・基礎的側面~

北村歳男、山鹿眞紀夫、井出淳二、高木克公(熊本大学医学部整形外科教室)、診療新社

 

 

(※ 首こり、肩こりに「自律神経失調症状」も併発している方はこちらへ → 首こり病 頚性神経筋症候群 頚性うつ とはどんな病気ですか? )

 

 


頚椎配列の異常など骨格の問題は、ほとんどの場合「日常生活での悪習慣」によって起こります。

詳しくはこちらの記事の書いてありますので、参考になさってください。

→ 基本に戻って「姿勢」のことを考える ~悪い姿勢を続けているとどうなるのか?~

 

お気軽にご相談ください

頚椎のアライメント異常はそのままにしておいても治ることはありません。むしろ将来的に「変形性頚椎症」や「頸椎椎間板ヘルニア」などへ進行するものもあります。「そのうち診てもらおう」と軽視せず、出来るだけ早く適切な処置を受ける方が良いと思われますので、お気軽にご相談ください。

 


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「初回無料カウンセリング」では、お困りの症状について問診、各種スクリーニングを受けていただいた後、「原因」を見つけ出し、それに応じた治療法、治療の組み立てをご提案させていただきます。

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(初回カウンセリング時の治療は行っておりませんのでご了承ください)

 

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※ 注意しなければいけない疾患については以下の記事にて

→ 首こり、肩こり ③ 命に関わる危険な病気が隠れているもの

→ 首こり、肩こり、が強くて頭も痛くなる ~命に関わる椎骨動脈解離~