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うつだから肩がこるのか? 肩がこるからうつになるのか?
2023.10.26
うつだから肩がこるのか? 肩がこるからうつになるのか?
精神的ストレスが長く続いたり、うつ病や適応障害の方には
肩こりや首こり、腰痛などの「身体症状」があらわれることがあります。
メンタルが痛むから身体に症状が出てくるのか?
身体症状があるからメンタルが痛むのか?
そんな風に悩んでいる方も多いでしょうね。
結論から言えば、どちらもあるといえます。
両方とも「ゆとり」が少なくなっている状態と捉えると、良くなるためにきっかけが見えてくると思います。
1.メンタルから身体症状
以前のブログで、ジョン・E・サーノ博士が提唱した「TMS理論」についてご紹介しました。
「精神的ストレスによる交感神経の緊張から
筋肉が硬くなって虚血状態となり痛みを生じる」
「TMS」とは、Tension Myositis Syndrome:緊張性筋炎症候群の略で、
サーノ博士は「ストレスによる潜在的・顕在的不安や恐怖から心を守るために、脳が痛みを感じさせている」と説明しています。
「筋炎症候群」と名付けられていますが、筋肉の痛みやコリ感だけでなく関節の痛みなども含めています。
(※ 詳しくはこちらの記事を → 肩こり、首こり、腰痛と自律神経失調症、うつ、適応障害 )
「コリ」は筋肉が硬くなっている状態ですが、
筋肉が硬くなる理由のひとつに「筋肉の防御反応」があります。
これは、外敵の攻撃から身を守るために筋肉を硬くするという正常な反応です。
攻撃されないことが分かれば「身体は安心」して防御反応は解除されるはずですが、
精神的ストレスが続いている時やうつ、適応障害の方はそれが解除されにくいのです。
「身体が安心出来ていない状態」ですから、身体はずっと防御し続けてしまうワケですね。
そういう意味では「メンタルの状態が身体に反映している」と言えます。
筋肉が硬くなれば、血流が悪くなって筋肉内が阻血状態となり、痛みを感じやすくなったり、
筋緊張性の肩こりや首こり、腰痛が症状として出てくるのも当然です。
2.身体症状からメンタル
どんな人でもこれまでに、「身体的苦痛」によってメンタルが影響を受けたことはあるのではないでしょうか?
「虫歯が痛くて」とか「お腹が痛くて」とか、どこかに痛みがあれば気持ちは落ち込みます。
「頭が痛い」のに、ニコニコしてられるワケがありません。
このような「身体的苦痛」が一時的であれば良いのですが、長期間続くとそれが脳に刻み込まれ、
苦痛に対しての「閾値」が下がることが知られています。
「閾値」とは、痛みなどの感覚を「どれくらいで感じるか?」という値のことです。
「閾値が下がる」ということを分かりやすく説明すると以下のようになります。
正常の「痛みの閾値」を『10』とします。
もしも、『10未満』の刺激であれば痛みは感じません。
『10以上』の刺激が加わってはじめて脳は痛みを感じます。
もしも「痛みの閾値」が下がって『7』になってしまうと、
正常な時には何ともなかった『8』や『9』の刺激でも痛みを感じてしまうということです。
言い換えると「普段では何ともなかったことでも苦痛を感じやすくなる」ということです。
見方を変えると「ゆとりが少なくなった状態」と言えます。
そうなると、これまでの日常生活では何ともなかったことが苦痛となり、
その苦痛がメンタルをむしばんでいく…ということにつながるのです。

3.身体症状を和らげて「きっかけづくり」
「病は気から」という言葉がありますが、「気は病から」とも言えます。
ですから、「うつだから肩がこるのか? 肩がこるからうつになるのか?」は、どちらもあり得るということです。
当院では、そのような状態から抜け出すための治療戦略として
「まずは身体症状を緩和させる」というところから始めます。
身体が訴えている「苦痛」を緩和させ、「身体的なゆとり」を作るところから始めるということですね。
肩こりや首こり、腰痛だけでなく、自律神経バランスが崩れることで現れる症状を緩和させ、
それを「きっかけ」にしてメンタルの不調を緩和させていく…という考え方です。
「身体症状」については患者さんの状態によって様々ですので、下記リンク先の記事をお読みください。
自律神経失調症状が目立つ方はこちら → 自律神経を整える ~背骨と自律神経の関係~
ストレートネックが気になる方はこちら → 治療が必要な「ストレートネック」
首こり、肩こりが強く、頭痛も併発する方はこちら → NHK「ガッテン!」で紹介 ~後頭下筋群~
眼精疲労のある方はこちら → 後頭下筋シリーズ ~ 後頭下筋と眼球運動 ~
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