うつだから肩がこるのか? 肩がこるからうつになるのか?

うつだから肩がこるのか? 肩がこるからうつになるのか? ~ストレスによる肩こり、腰痛とはどんなものか?~

ストレスによって憎悪しやすいもの(自律神経失調症、うつ、適応障害など)の患者さんには、併発症状として、肩こりや、首こり、腰痛や筋緊張性の頭痛など筋肉の硬さからくる「身体症状」を訴える方も多くみられます。

これは何故なのでしょうか?

 

 

「精神的ストレスによる交感神経の緊張から

     筋肉内が虚血状態となり痛みを生じる」

 

これはニューヨーク大学医学部教授ジョン・E・サーノ博士が提唱した「TMS理論」によるものです。

「TMS」とは、Tension Myositis Syndrome:緊張性筋炎症候群の略で、サーノ博士は「ストレスによる潜在的・顕在的不安や恐怖から心を守るために、脳が痛みを感じさせている」と説明しています。

(「筋炎症候群」と名付けられていますが、筋肉だけでなく関節の痛みなども含めています。)

 

全ての痛みがこの理論に当てはまるわけではないと思いますが、精神的なストレスが身体へ与える影響はとても大きなものです。

前述のようにストレスによって憎悪しやすいもの(自律神経失調症、うつ、適応障害など)の患者さんには、併発症状として、肩こりや、首こり、腰痛や筋緊張性の頭痛など筋肉の硬さからくる「身体症状」が多くみられます。

 

精神的なストレスは、身体に様々な防御反応を起こさせます。

筋肉を硬くさせるというのも外敵から身を守るための反応のひとつですが、このような防御反応は動物に備わった生理的なものです。

筋肉が硬くなることは、肩こりや首こり、腰痛や背中の痛みなど起こす原因ではありますが、「筋肉が硬くなる理由」はそれだけではなく他にもたくさんあるんですね。

ですから、「うつだから肩が凝る」、「うつだから首が痛くなる」とは言い切れません。

 


肩こり、首こりの原因 ~筋肉が硬くなる理由~

肩こり、首こりは、「筋肉が硬くなった状態」ですが、
「筋肉が硬くなる理由」には以下のようなものがあります。

 

1.加齢

もともと正常な筋肉は水分を「72~75%」程度含んでおり、軟らかい組織です。

しかし、年を取ると筋肉内の水分が減り干からびるように筋萎縮が進み、筋肉が筋張って硬く脆い組織になってきます。

2.疲労

筋肉を収縮させる際にはエネルギーを使います。

関節を動かす、姿勢の維持など、ヒトが生きていく上では必ず筋肉を収縮させています。

 

筋肉内のエネルギーが減ったり、筋肉内に乳酸や二酸化炭素などの「疲労物質」が蓄積してくると筋肉は硬くなります。

疲労が回復すると、元のように軟らかい状態に戻りますが、じゅうぶんに回復出来ないと硬い状態が続くことになります。

そして、筋肉が硬くなると血流が悪くなるため、エネルギーの補充が行われにくくなり回復が遅れる…という悪循環に陥るのです。

3.緊張

筋肉は安静にしていても一定の緊張度があります。

姿勢を維持するためであったり、何かあってもすぐに動けるようにするためで、これは正常な状態です。

 

しかし、様々な形で「ストレス」を受けると、筋肉の緊張度がさらに高くなり「こわばった状態」になります。

これは、筋肉を硬くして身体を守ろうとする生理的な「防御反応」のひとつです。

 

「ストレス」が無くなれば緊張は解かれ、筋肉は軟らかい状態に戻ります。

 

ですが現代人は「ストレス状態」が長く、常に筋肉が緊張して硬くなっています。

筋肉が緊張して硬くなっている状態が続くと、上述のように筋肉への血流が乏しくなり、

疲労回復は遅れますし「線維化」を起こしやすくなります。(後述)

 

4.損傷の繰り返しによる「線維化」

筋肉に「打撲」や「肉離れ」、反復負荷による「筋損傷」などの損傷を起こし、

その後きれいに元の組織に修復されれば良いのですが、

元の組織に再生されずに硬い組織(変性組織)になる場合があります。

 

筋肉が損傷してキズついた場合、そのキズを「コラーゲン」で修復しようとします。

 

「コラーゲン」とはタンパク質の一種で、筋肉だけでなく髪の毛や爪、内臓なども「コラーゲン」で出来ています。

正常なコラーゲンは、適度に水分を含んでいて軟らかい組織なのですが、

損傷した部をきれいに修復されない場合、硬いコラーゲンになってしまうことがあるのです。

 

「打撲」や「肉離れ」、「筋損傷」などの損傷は、実は特別なことではなく日常的に起こっています。

「微細損傷」と言って、痛みや腫れが目立たないので気づかず、日々起きているんですね。

その「微細損傷」が正常に再生されないことが続き、筋肉内では徐々に「線維化」が進行します。

5.軸のズレ

筋肉は骨についています。

もしも、骨の歪みが発生すれば、軸がズレるので筋肉の長さが変わって引き伸ばされます。

筋肉は引き伸ばされると硬くなります。

 

以下、背骨と背中の筋肉を例にしてみます。

上の図はバランスの取れた人のモデルです。

背骨が真っすぐであれば、左右の筋肉のバランスも良好です。

 

もっとモデル化してみると下の図のようになります。

 

黄色い矢印点線を「背骨」に見立て、左右の赤線は付着している「筋肉」を表しています。

軸が真っすぐならば左右の筋肉も同じ長さになりますので、筋肉の緊張度は同じです。

 

 

軸がずれた状態(歪んだ状態)は下の図のようになります。

軸の位置がずれると左右の「辺」の長さが変わります。

この図では軸の位置が右にずれる事によって、左の「辺」が長くなります。

左の「辺」を筋肉とするならば、この場合は筋肉が引き伸ばされることになります。

筋肉は引き伸ばされると「緊張」しますので、軸が元の位置(正常な位置)に戻らない限り

常に「緊張」した状態になり、筋肉は硬くなってしまうということになります。

 

よく「背骨の歪みが肩こり、腰痛の原因」と言われるのは、このような理由で筋肉の硬さが起こるからです。

(※ さらに詳しくはこちらへ → 筋肉が硬くなる理由 )

 

 

 

ちなみにですが、ズレ、歪みの場所によっては、自律神経失調症状を引き起こすこともあります。

背骨の横には「交感神経幹」という自律神経の集まりがあり、背骨のズレ、歪みによって

圧迫や牽引などの物理的ストレスを受けます。

神経線維は、このような物理的ストレスに弱く、機能不全を起こすことが知られています。

(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では、神経が圧迫、牽引されることで、痛みや痺れを起こすというのは代表例ですね。)

 


どんな人でも割合の差はあるでしょうが、1~5の全てが当てはまります。

 

精神的ストレスが長く続いた時や、うつ病や適応障害、パニック障害をお持ちの方にみられる肩こりや首こりは、

『3.緊張』が問題として、「リラックスしましょう!」とか「緊張を解く何かをしましょう」

…という話になることが多いのですが、これらの患者さんの身体をみせていただくと、

『5.軸のズレ』が必ずと言って良いほどあるのです。(「歪んでる」ということです)

 

特に、頚椎~胸椎の歪みが大きく、そのことから後頭部の筋群、首筋や肩甲骨の内側の筋肉のコリが強く現れています。

 

 

もう一度、うつだから肩が凝るのか? 肩が凝るからうつになるのか?

つまり何が言いたいかというと、

「精神的ストレスやうつだから肩がこっている」という事だけではなく

「骨格の歪みやズレ(特に頚椎)によって肩がこっている」のではないかということです。

 

現在抱えている症状の原因の何十パーセントかは「骨格の歪みやズレ」である可能性が高いので、それを整えていくことで身体症状を改善させていく。

 

身体症状が楽になってきたら、身体にもこころにも「ゆとり」が生まれ、次のステップに向かえるようになるかもしれない。

 

…ということです。

 

ですから、あきらめる必要は無いのでは?と思います。


歪んだ背骨を整えるアプローチ

当院では歪んだ頚椎、腰椎などを整えるために特殊なローラーを使い、脊柱の配列を正常化し、体幹の保持と安定を図る処置を行っております。
お困りの方は、初回の無料カウンセリングをご利用ください。
問診、各種スクリーニングを受けていただいた後、治療法、治療の組み立てをご相談させていただきます。
(尚、初回カウンセリング時の治療は行っておりませんのでご了承ください。)

 


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ストレートネックが気になる方はこちら → 治療が必要な「ストレートネック」

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