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Q&A 首こり、肩こり
このページでは、みなさまから寄せられた質問、患者さまからよくある質問に対して、わかりやすく解説しています。
(随時更新中)
どんなものを「肩こり」と呼ぶのですか?
「肩こり」にはっきりとした定義はありません。
一般的には、「後頭下部から後頚部、肩甲背部、肩関節部にかけての筋肉の緊張、硬さを中心とする不快感、違和感、鈍痛などの症状、愁訴」のことを肩こりと呼んでいるようです。
患者さんの症状の表現の仕方も様々で、「重い」、「だるい」、「硬くなっている」、「張っている」などがありますが、重度の場合には「痛み」を訴える方もいます。
症状がみられる場所としては、首すじから肩、背中や肩甲骨の内側、後頭部などもありますが、胸のあたりまでコリ感を訴える方もいます。
また、これらに続く症状として、「頭痛」、「目の疲れ(眼精疲労)」、「倦怠感」、「吐き気」、「耳鳴り」などや、「腕のだるさ」、「手の痺れ」などがみられることもあります。
肩こりの症状のほとんどは「筋肉の硬さ」にまつわるものですが、何か他の病気が原因となっている場合もあるため、放置することは望ましくないでしょう。
肩こり、首こりの症状にはどんなものがありますか?
ほとんどの場合、筋肉の硬さからくる症状がみられます。コリがみられる筋肉も様々で、身体の浅い所にある筋肉(浅層筋)、深い所にある筋肉(深層筋)などがありますが、慢性化している場合は背部、腰部の深層筋にまでコリが拡がっていることが多いようです。
その他、これらに続く症状として、「頭痛」、「目の疲れ(眼精疲労)」、「倦怠感」、「吐き気」、「めまい」などのいわゆる自律神経症状や、神経障害を疑わねばならない「腕のだるさ」、「手の痺れ」などがみられることもあります。
肩こり、首こりは、何かの病気の症状として出てくる場合があり注意が必要です。(内科疾患、整形外科疾患、脳神経障害など 後述)
参考: 森本昌宏. < 総説> 肩こりの臨床: 適切な診断と治療のために. 近畿大学医学雑誌, 2010, 35.3-4: 151-156.
肩こりの原因は何ですか?
肩こりの原因となるものはたくさんあります。運動不足による筋力低下や悪い姿勢、同じ姿勢による筋疲労、寒冷、加齢、自分の身体に見合っていない負荷をかけること、ストレス、睡眠不足などが挙げられます。肩こりが治りにくいのは、これらの原因がひとつではないことです。肩こりで悩む方のほとんどが複数の原因が重なっていて、対処がじゅうぶんにできていないようです。
肩こりの中には「何かの病気があって、その病気の症状として肩こりがみられる」というものもあります。このようなものを「症候性肩こり」というのですが、原因となる病気には以下のようなものがあります。
1.骨や関節、筋肉などの病気によるもの(整形外科疾患)
頸椎疾患(※たくさんあるので別項目でまとめています)、肩関節疾患(五十肩、肩関節周囲炎、肩腱板損傷、肩関節不安定症、動揺性肩関節症、肩関節拘縮など)その他、肩関節周囲の神経障害、胸郭出口症候群、斜角筋症候群、リウマチ性のもの、など
2.内科・外科疾患
頭痛と関連して生じるもの(緊張性頭痛、片頭痛、頚性頭痛など)
循環器疾患(高血圧、狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤、動脈炎症候群など)
消化器疾患(胃、十二指腸、肝臓、胆のう、膵臓疾患など ストレスと関連するものは頻発)
呼吸器疾患(喘息などで起こる呼吸障害時、胸膜炎、肺尖部腫瘍など)
神経疾患(脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、虚血性末梢神経障害など)
その他(貧血など)
3.眼科疾患(視力障害、眼精疲労、など 「見えにくい」ということがストレスになって起こるケースもある)
4.耳鼻咽喉科疾患(内耳、中耳、前庭、外耳の炎症性疾患、内耳性眩暈、副鼻腔炎など)
5.婦人科疾患(更年期障害、PMS:月経前症候群、ホルモンバランスの崩れなど)
6.歯科疾患(顎関節症、噛み合わせ、顎関節亜脱臼、義歯不適合など)
7.心因性に関わる疾患またはそれに準ずる状態(うつ状態、適応障害、パニック障害、ストレス過多など)
8.その他(膠原病など)
このように、肩こりの原因となる疾患はたくさんあります。持病としてご自身で把握出来ていない場合もありますので、治りにくい肩こりをお持ちの方は原因疾患をみつけるために各科を受診のうえ検査などを受けておきましょう。
もしも原因疾患がある場合、原因疾患への治療と肩こりの治療を併行して治療を行なう方が望ましいと思います。
何年も前からずっと肩こりです。家族から「首が悪いんじゃないか?」と言われ、心配になっています。レントゲンを撮ってもらった方が良いでしょうか?
上の「肩こりの原因は何ですか?」の回答に書いてあるように、何かの病気の症状として肩こりがみられることがあります。その中には、首の骨(頚椎)が関与する病気があります。(下記参照)
【肩こりの原因となる頸椎疾患の例】
1.頚椎症(頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症)
2.椎間板変性(椎間板ヘルニア)
3.椎間関節症、椎間関節炎
4.環軸椎亜脱臼、環軸関節変性性関節症
5.後縦靭帯骨化症
6.頚椎捻挫(外傷性頚部症候群:むち打ち症)
7.炎症性疾患(化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎)
8.腫瘍(頚椎骨腫瘍、髄内腫瘍、髄外腫瘍)
9.頚性神経筋症候群
上記のうち、これらの疾患の多くはレントゲン写真を撮ることで診断が可能です。整形外科を受診したことのない方は、まずお近くの整形外科へご相談してみてください。
ずっと肩こりで辛かったのですが、最近になって急に痛みも出るようになりました。これは何か別の病気でしょうか?
前述のように、肩こりの中には「何かの病気」が原因となっているものがあります。
そして、その中には「命に関わる危険な病気」もあるのです。
下記の項目は「レッドフラッグ」と呼ばれるもので、医療機関においては、これらの兆候がみられる場合にはしかるべき検査、処置を必要とするとしています。
●発症年齢が50歳以上
●これまでの人生で最も強い痛み
●何もしていないのに急に痛みが出た
●首や肩の痛みの後、頭痛が出た
●発熱がある
●生活習慣は変わっていないのに、著しい体重減少がある
●悪性腫瘍(癌)の既往歴がある(または治療中である)
●これまでに首や肩の手術の経験がある(または今後する予定がある)
●痛みが出てから一カ月以上経過し、治療をしているが改善がみられない
●朝起きた時に首や肩の関節以外にもこわばりや痛みがある
●お箸を使うことやボタンを留めるのが困難である
●腕や手にしびれ感がある
●手先の感覚がわかりにくいことがある
●手足の脱力感がある
これらの項目のうち、複数に当てはまる場合には、すぐに医療機関を受診していただく方が良いと考えます。
必ずしも「命に関わる」ということではないかもしれませんが、「単なる肩こりからくる痛み」ではない可能性があります。
首こり、肩こりは温めた方が良いですか? 冷やした方が良いですか?
硬くなっている、癒着を起こしているというレベルの筋肉であれば、血行を良くするために温めるか適度な運動が良いでしょう。
凝りは筋肉疲労の状態でもありますので、温めのお風呂にゆっくりと入り、身体をリラックスさせるようにしましょう。
ですが、癒着した部分が剥離して傷ついて炎症を起こしている場合は、温めたり動かしたりすると炎症を助長するため控えてください。
「痛み」として認識されるほどの症状であれば炎症が強いと考えられますので、氷を使って局所のアイシングを行なう方が良いでしょう。
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