五十肩について ② 〜FAQ〜

五十肩について何度かに分けて書いてます。

今回は対処法について、よくある疑問を解説。

〜「五十肩」のザックリした分類〜

①肩を動かす筋肉や腱が傷ついて炎症を起こしているもの

②肩の関節を包んでいる袋が固くなって伸び縮みしにくい状態になっているもの

③関節の中にカルシウムがたまり、固まってしまって動かしにくくなっている

 

 

①は「腱板損傷」とか「腱板炎」とか「上腕二頭筋損傷」などがあります。

②は「滑液包炎」とか「 肩峰下滑液包炎」などと呼ばれます。

③は「石灰沈着性腱板炎」とか「石灰沈着性滑液包炎」などがあり、一言で「五十肩」と言っても色々あるのです。

 

他の呼び方として
「肩関節周囲炎」と呼ばれることもあります。
「肩の関節の周囲で炎症が起きてます」ということですね。
「周囲」には筋肉や靭帯、関節を包んでいる袋(関節包)や軟骨など色々なものがあり、それらの炎症が混在しているという状態です。

 

1)冷やすの? 温めるの? 

「炎症」がある場合には、炎症を抑えるために冷やす方が良いでしょう。

「氷」を使ってアイシングを行う事をおすすめします。

 

(補足1)「冷湿布を貼ってたら良いですか?」と聞かれることが多いですが、冷湿布はヒンヤリする感覚だけで温度は下がりません。(熱を取ってくれるわけではないんです)

 

(補足2) よく「寒さやクーラーで冷えると痛い」という方もいるのですが、内部で炎症を起こしている時には寒さやクーラーによる冷えにより「中で熱がこもった状態」になって炎症が余計に強くなり「冷えたのにズキズキ疼く」という症状が出てきます。

そうなると「冷えたから痛い  →  温めたらいいんじゃないかな?」という発想になり、内部で炎症を起こして腫れているのにも関わらず温めてしまうということになっちゃう人が出てきちゃうんですね。 その時には温める刺激が心地よく「なんとなく痛みがマシな気がする」のですが、炎症を抑えることはできません。

 

 

2)動かした方が良いのか? 動かさない方が良いのか?

実はこれはすごく難しい問題です。

目的が「痛みの緩和」なのか、「機能回復」なのか?

で話が変わってきますので。

五十肩は動かすと痛いので、痛いのがイヤな人は動かさない方が良いでしょう。

(「動かせば痛みが取れる」というわけではありません。特に炎症の強い初期は。)

そのまま何もしなければそのうち(1年くらい)炎症が落ち着いて痛みはなくなると思います。

 

しかし長期間動かさないままでいると、筋力は低下し、軟骨はもろくなり、関節包は硬く弱くなり、「元の機能」は失われているかもしれません。

「機能回復」を目的とするならば動かすべきです。

難しいのは、上記のごとく「動かすと痛い」わけですからやたらめったら動かせば良いという事ではなく、再度損傷を起こさないように「状況に合わせて正常な関節機能を取り戻すための運動を行う」ということになります。(それが難しいのですが。。。)

 

患者さんの状況はひとりひとり違いますので、現段階でどのような運動が良いのか?というのは違ってきます。

ですので素人判断で運動の仕方を組み立てるのではなく、きちんとした専門家に聞く方が賢明かと思われます。

(以下の記事も参考に)

 『ヒョウ柄を着た名医』