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肩こりから吐き気 ~症状と原因、治療法、予防法を解説~
「肩こり」の症状をお持ちの方は非常に多く、平成22年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると有訴率が男性の第2位、女性の第1位となっています。
さらに肩こりがひどくなると、「吐き気」や「頭痛」、「めまい」なども起こし、日常生活に支障が出る方もいらっしゃいます。
この記事では、肩こりから吐き気などの自律神経失調症状が出てくる理由、肩こりや首こりの原因、治療法、予防法などを解説していますので参考になさってください。
肩こりから起こる随伴症状
肩こりがひどくなり過ぎておこる症状(随伴症状)には、以下のようなものもあります。
頭痛、吐き気、胃痛、胃部不快感、全身倦怠感、易疲労感、耳鳴り、めまい、のぼせ、身体のこわばり、過緊張など
これらの症状は、肩こりや首こりで脳や自律神経節への血行が悪くなり、自律神経のバランスが崩れるためと考えられています。
さらに首には「迷走神経」という神経が通っており、肩こりや首こりがこの神経を圧迫して延髄にある「嘔吐中枢」が刺激されるとも考えられています。
吐き気を伴う肩こりを起こす原因
1.疲労の蓄積
肩こり、首こりは筋肉が硬くなっている状態です。筋肉が硬くなる主な理由は「疲労」です。
筋肉が活動するとエネルギーが消費され、疲労物質として乳酸や二酸化炭素、水素イオンなどが発生します。
休息すれば疲労物質は代謝、分解されて疲労は回復するのですが、じゅうぶんな休息が取れていないと筋肉は硬くなったままでこりが取れなくなっていくのです。
2.運動不足
運動不足は筋肉を動かさないため血行が悪くなります。首まわりの血行が悪くなると脳血流の低下、延髄や迷走神経の酸素不足を起こし、嘔吐中枢が刺激されてしまいます。
さらに運動不足は筋力低下につながり、筋疲労を起こしやすくなります。
3.長時間の座位作業、パソコンやスマホなどで目を使い過ぎる
座ったままの姿勢では首すじや背中の筋肉への負担が増えます。それが長時間となればなおさらです。
後頭部と首すじの間には「後頭下筋」という筋肉があるのですが、この筋肉は目を使う時に緊張するという性質を持っています。
「後頭下筋」のこりが強くなると、頭痛や眼精疲労などの随伴症状があらわれることが臨床的には知られています。
4.ストレス
誰もが経験していると思いますが、精神的なストレスや緊張を感じると筋肉は硬くなります。
さらに精神的なストレスや緊張は、自律神経のひとつである「交感神経」を活発にさせます。
「交感神経」が活発になると、胃壁や腸壁への血行が悪くなり粘膜が傷つきやすくなってしまいます。
胃粘膜や腸粘膜が傷ついていると、食後に気持ち悪くなったり吐き気を感じるようになるということです。
(※ 胃粘膜や腸粘膜が傷つき荒れてしまった状態が「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」です。)
吐き気を伴う肩こり、首こりの対処法、予防法
1.じゅうぶんに休息、睡眠をとる
前述のとおり「疲労」はこりの大きな原因です。過度の労働は避け、じゅうぶんに休息するようにしましょう。
疲労回復のためにもっとも有効なものは「睡眠」です。
個人差はありますが、疲労回復のために必要な睡眠時間は「7~8時間」といわれています。
2.ゆっくりとお風呂に浸かる
入浴も疲労回復には効果的です。
ぬるめのお湯(39℃~40℃)にゆっくりと浸かると筋肉の疲労と自律神経の疲労回復に効果があることが研究で分かっています。
(※ 疲労回復のための「入浴法」についてはこちらの記事: 自律神経を整える ~適温のお風呂~ で詳しく解説しています。合わせてお読みください。
3.良い姿勢を心がける
デスクワーク時に背中が丸くなったり前かがみの姿勢になると肩こりや首こりを悪化させます。出来るだけ体幹を真っすぐにして背筋が伸ばした姿勢で作業出来るように工夫してみましょう。
寝る時の「高まくら」や「うつ伏せ寝」の習慣は頚椎に負担が大きく、肩こりや首こりの原因となるので注意が必要です。
4.ストレスをためない、適度にストレス解消
ストレスは筋肉の緊張と自律神経の緊張を強くします。出来れば「ストレスを感じない」のが理想ですが、それは難しいので適度に「ストレス解消」をしましょう。
緊張した身体や神経を「リラックスした状態に切り替えるもの」を探してみましょう。
「ヨガ」や「筋トレ」などの運動でも良いですし、「音楽」や「アロマ」など、何でも構いません。
5.適度な運動習慣
運動不足解消、筋力低下を防ぐために適度な運動を習慣にしましょう。
筋力アップを行なえると疲労しにくくなりますし、疲労したとしても回復が早くなります。
筋肉を動かした後は脱力してリラックス出来ますので、ストレス解消にもなります。
首こり、肩こりを改善させるストレッチ
後頭下筋のストレッチ
デスクワークやパソコン作業で硬くなった後頭下筋をゆるめるストレッチをご紹介します。
正確には「ストレッチ」ではなく、筋肉の力を抜くために行なう「漸進的筋弛緩法」を応用したリラクセーション法です。
① 頭の後ろで手を重ねて支えるようにします。
② その姿勢で頭を後ろへ押すようにします。その時に手は前に力を入れて頭が動かないように支えます。
(頭と手で「押し合いっこ」するようなイメージです。)
③ 5秒間程度、力を入れたあと、力を抜いてリラックス。
④ 次に、額に手を重ねて頭を支え、さっきの動きとは逆の方法に力を入れます。(頭は前に、手は後ろに)
⑤ 5秒間程度行ない、力を抜いてリラックスします。
⑥ 筋力にもよりますが、5~10セット行ないましょう。
ポイントは「力を入れること」よりも、力を入れたあとに「抜くこと」です。
イメージとしては、「スイッチをオフ」にして脱力させるようにすることです。
目をよく使った時にこれを行なうことで、硬くなった筋肉の「スイッチをオフ」にして休ませてあげましょう。
自宅で出来る肩こり解消ストレッチの方法
軽度のものであれば、数日続けるだけで身体が軽く感じたり、柔らかくなってくるのが実感できるようになると思いますが、運動不足が続いている方、これまでに運動習慣の少なかった方は効果を感じるまでに数週間必要かもしれません。無理のない範囲で、毎日続けていきましょう。
自宅で簡単に出来るストレッチ、リラクセーション法をこちらの記事: ストレスによる肩こり、首こりの解消法 ~自宅で出来るセルフケア 筋リラクセーション法~ でご紹介していますので実践してみてください。
まとめ
肩こりや首こりを我慢して放置しておくと吐き気などの随伴症状が出てくるため早めにケアしておきましょう。
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吐き気に代表される随伴症状は自律神経バランスの崩れから起こるものが多いため「自律神経失調症状」とも呼ばれます。
以下の記事も合わせてお読みください。
自律神経失調症の関連記事は以下にて
( ストレスチェックについてはこちら → 妊活に必要なこと ~自律神経チェック~ )
( 女性のカラダと自律神経との関係についてはこちら → 女性のカラダと自律神経 )
( 自律神経を整える入浴についてはこちら → 自律神経を整える ~適温のお風呂~ )
( 東洋医学的観点からの自律神経失調の改善方法 → 自律神経を整える ~東洋医学的「経穴」との関係から~ )
( 背骨の歪みからくる自律神経失調について → 自律神経を整える ~背骨と自律神経の関係~ )
( うつと首こり、肩こり、と自律神経失調 → 首こり病 頚性神経筋症候群 頚性うつ とはどんな病気ですか? )
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(参考文献)森本昌宏. < 総説> 肩こりの臨床: 適切な診断と治療のために. 近畿大学医学雑誌, 2010, 35.3-4: 151-156.
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