猫背の方にみられる症状 ~息がしにくい~

背中が丸くなっている、ストレートネック、猫背など不良姿勢が原因となって、肩こり、首こり、腰痛など筋肉の症状があらわれることはよくあることですが、重度の不良姿勢の場合、「息がしにくい」「呼吸が浅い」など呼吸にまつわるトラブルまで合併することがあります。

普段はそれほど気になるレベルではないのですが、「階段を上ると息切れしてしまう。」とか「小走りすると苦しい。」など、運動負荷を受けるとしんどくなるというパターンが多いようです。

背中が丸くなった姿勢では肺を圧迫してしまいますので当然のことではあるのですが、長期間にわたって呼吸がうまくいかないと体内で酸素が足りなくなって二酸化炭素が増えるということになってしまいます。

酸素は体内でエネルギーをつくるのに必要ですから、呼吸がうまくいかないと、何となくしんどい、疲れやすい、疲れが取れない、気力が出てこないなど、病気ではないけれど体調が良くないという状態につながります。

当然のことながら、放置しておいて自然と治るものではありませんので、出来るだけ早期に対処しておきましょう。

 

肋骨の動きを悪くする2つの原因

猫背の方は背中が丸くなって肺を圧迫しているので空気が入る量に制限がかかっています。(吸いにくい)

そしてそれだけでなく、猫背からくる呼吸障害は「肋骨の動き」が悪くなることから起こります。

肋骨の動きが悪くなる原因には①頚部から背部、肩甲骨周りの筋肉が硬くなること」と、「②関節周りの靭帯が硬くなって肋骨の動きが制限されてくること」の2つが挙げられます。

肋骨の動きを改善することは、日常生活姿勢の改善と適度の運動習慣で改善できます。

この記事では、猫背からくる呼吸障害の改善方法をご紹介していきますので、最後までお読みになって参考にしてください。

 

呼吸の時の肋骨の動き

息を吸うと、肋骨は上がり、吐く時には下がります。

この肋骨の動きが悪くなると、じゅうぶんに吸えない、吐けないという状態となります。

猫背の方は普段からこの「吸う、吐く」という運動の幅が小さく、筋力も関節も発達していない方が多いため「呼吸が浅い」という人が多くみられます。

 

肋骨の動きを悪くするもの ~筋肉の硬さ~

肋骨の動きを悪くする筋群には以下のようなものがあります。「筋力が弱い」ということも肋骨の動きが悪くなる原因にもなりますが、「硬くなる」ということも肋骨の動きを悪くする大きな原因になります。

これらの筋群が硬くなると首こりや肩こり、背中の痛みなどの原因にもなりますので、日常的にコリを感じている人は潜在的に「呼吸障害」を抱えている可能性があります。

筋肉の硬さは、運動することで改善することが出来ます。下記に筋肉を軟らかくするための簡単なストレッチをご紹介していますので、参考にしてください。

 

猫背で硬くなった筋肉をほぐすストレッチ①

呼吸の邪魔をする筋肉をやわらかくするためのストレッチです。

あぐらをかいて座り(椅子でもOK)、上半身を軽く前に曲げ、ゆっくりと息を吐きながら手を前に出し、背中から首筋の筋肉を伸ばしていきます。

筋肉が伸ばされている感覚が出てきたらそこで止め、しばらくキープします。

その後、両手を後ろに引き、ゆっくりと息を吸いながら背筋を伸ばして胸を開いていきます。

各動作は7~10秒間程度で行ない、10~15回を1セットとします。

 

猫背で硬くなった筋肉をほぐすストレッチ②

首筋から背中にかけての筋肉と、胸周りの筋肉をほぐすストレッチです。

座った状態で両手でタオルを持った状態から、腕を上に伸ばしていきます。

その後、腕を曲げて最初のポジションに戻り、腕を伸ばすのを繰り返します。(10~15回)

(この運動では腕を上に伸ばしていく時に胸郭が開き、自然と空気が肺に入ってきますのであまり呼吸は意識しなくても良いです。)

 

どこかに痛みが出るようであればそこでいったんは中止しましょう。無理は禁物です。

何日か続けて慣れてくれば痛みは出なくなるはずですが、もしも痛みが無くならなかったり、強くなるようであれば「関節の周りの靭帯が硬化、癒着」している恐れがあります。

そのような場合、放置していると「関節の変形」から「関節拘縮」を起こし、肋骨の動きがさらに悪くなっていく可能性が高いので注意が必要です。


 

肋骨の動きを悪くするもの ~靭帯の硬化、癒着~

下の図は、ヒトの身体の「胸郭」を上から見たところです。

肋骨が輪っかのようになって、前では胸骨、後ろでは椎骨(背骨)とつながっています。その継ぎ目が肋骨を動かす関節で、胸郭に可動性を持たせ、胸がふくらんだりしぼんだりして呼吸運動が出来るようにしています。

 

 


背骨と肋骨の継ぎ目である「肋椎関節」の拡大図です。靭帯でつながれて補強されています。

この靭帯が硬くなり過ぎて「硬化」したり、「癒着」を起こしたりすると動きが悪くなり、肋骨の動きをかなり制限してしまいます。この部の「硬化」、「癒着」を起こしてしまったものは、筋肉を軟らかくしてもなかなか肋骨が動きません…。

(上述のストレッチが効果しないわけではないのですが、かなりしっかりと時間をかけないと動きが出てこないです。だから途中であきらめてやめてしまう人が多いんです…。)

そういう場合は、肋骨関節周囲の靭帯の硬化、癒着を除去するための治療が必要となります。

 

肋骨の動きを制限し息がしにくくなる肋骨の靭帯癒着を除去する治療の例

猫背で息がしにくくなるのは筋肉の硬さと肋骨を動かす関節周囲の靭帯の硬化、癒着です。これらがやわらかく、動きやすくすることで呼吸困難は改善します。

靭帯の「硬化」、「癒着」を起こしてしまったものに対して当院では、癒着を除去することと、制限をかけている筋群を軟らかくするために特殊なローラーを用いて処置していきます。

関節周囲の靭帯、筋群を剥がしていくように層状圧が加え、背骨の配列も整えて安定性を高めていくようにします。

靭帯の硬化、癒着がある場合、脊柱の歪み、背骨の関節(椎間関節)のアライメント異常を合併していることも多いため、背骨の矯正も同時に行うことが可能です。

 


【初回無料カウンセリングのご案内】

当院では「初回無料カウンセリング」を行っております。

「初回無料カウンセリング」では、お困りの症状について問診、各種スクリーニングを受けていただいた後、「原因」を見つけ出し、それに応じた治療法、治療の組み立てをご提案させていただきます。

※ 初回カウンセリングの際には、悪化させていると思われる悪習慣を探し、改善するための日常生活指導をさせていただきます。まずはそれを一定期間実践していただき、それでも改善がみられない場合に治療開始するというスタンスで構わないと思います。

(初回カウンセリング時の治療は行っておりませんのでご了承ください)

 

「初回無料カウンセリング」へのお申し込みは、下記のお問合せフォームからお願いいたします。

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参考文献: 内田真弘. マッサージにより呼吸をコントロールすることによる 痛みへの影響についての理論と実際. 日本東洋医学系物理療法学会誌, 2018, 43.2: 37-43.