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動かすと痛い ~せぼねの場合~
「動かすと痛い」という症状を訴える患者さんは非常に多いです。
「動かすと痛い」という場合に、
動かす方が良いのか? それとも、動かさない方が良いのか?
そもそも、何故動かすと痛いのか?
ということを理解しておかないと、どうすれば良いのかが見えてきません。
今回は「せぼね」をテーマに、「動かすと痛い理由」を考えてみたいと思います。
せぼね(脊柱)の解剖
下図は「せぼね(脊柱)」の解剖図です。
頚椎は7個が並び、少し前に反った感じのカーブ(これを「前弯」と言います。)を描きます。
胸椎は12個が並び、少し後ろに反った感じのカーブ(「後弯」と言います)を描き、
腰椎は5個が並んで、頚椎と同じく「前弯」のカーブを描いて、
脊柱全体でS字状の「弯曲(わんきょく)したカーブ」になっています。
このカーブは重力方向への荷重に対してバネのように「クッション性」を持たせていると言われています。
このように脊柱は「適度なカーブ」を描いて配列するのが正常ですが、
このカーブが少なくなっている人はクッション性が悪く、
脊柱と脊柱を支える筋肉に負担が大きくなってしまいます。
いわゆる「ストレートネック」は、頚椎のカーブが少なくなっている状態で
頚部の筋群の負担が増えてしまうので、肩こりや寝違えなどの症状が出やすいと言われています。
異常姿勢の例
(↓ 脊柱のカーブに異常が発生した姿勢の例)
A、B、C の姿勢は「腰が反り過ぎ」です。
腰が反り過ぎている状態は、腰椎の後弯が「増強している」と表現します。
D、E の姿勢は、腰のカーブが少なくなって「反りが少ない状態」です。
このような場合、腰椎の後弯が「減少している」と表現します。
(E は「猫背」にもなってますね)
前述のように、背骨には「適度なカーブ」が正常な状態なワケで、
頚椎でも腰椎でも「反り過ぎ」も良くありませんし、「反りが少ない」のも良くありません。
「カーブ」に異常があれば、脊柱(椎骨、筋肉、関節なども含めて)への負担が増えてしまうため
痛みの原因になります。
脊柱の可動域
下図は「脊柱の可動域」を示したものです。
(ちょっと難しい話になってきますが、頑張りましょう!)
棒グラフの上に書いてある「伸展と屈曲」というのは、脊柱の「前後方向」の動きです。
「伸展」というのは、上半身を後ろに反らす動き(後屈ともいう)です。
「屈曲」というのは、上半身を前に倒す動き
(前屈とも言います。スポーツテストなどでやったことがあると思います。)です。
「体軸回旋」は上半身を捻じる動き、「側屈」は上半身を左右に曲げる動きです。
せぼねの絵の右側に「C1-C2」とか「L4-L5」とか書いていますが、
これは頚椎、胸椎、腰椎が接続している「関節(椎間関節)」の位置を表しています。
「C」は頚椎、「T」は胸椎、「L」は腰椎を意味し、
「C1-C2」というのは、1番目の頚椎と2番目の頚椎で作られる関節の事を指しています。
棒グラフの長さは関節が「どのくらい動くのか?」を示していますので、
「C1-C2」の椎間関節の動きをグラフから読み取ると、
「体軸回旋はとてもよく動くが、側屈はあまり動かない」と分かります。
脊柱全体の動きを見てみると、
伸展と屈曲(前と後ろの動き)はかなり大きく動くことが出来るけれど、
C1-C2の関節以外は体軸回旋(捻じる動き)はあまり動くことが出来ない、
という特徴がわかりますね。
再度、「脊柱の可動域」の図を見てください。
これは「各椎間関節の最大可動域」を示しています。
言い方を変えると
「どこまで動くか?」ということです。
もっと別の言い方をすると、
関節の動きの「許容値」ということになります。
ですから
「最大可動域以上」の範囲で動かせば、限界を超えてしまうために痛みも出るし、
もしかしたら「損傷」を起こす可能性もあります。
ですから、動かすと痛みが出る理由は
「限界を超えて動かしちゃうから」ということです。
でもどうでしょうか?
日常生活の姿勢、動作で、「限界を超えて動かす」なんてことありますか?
おそらくほとんどの人はそこまで大きく広く動かすことはないでしょう。
にもかかわらず「動かすと痛い」ということは、
「最大可動域が狭くなっている」ということなワケです。
(言い方を変えると「許容値が狭くなっている」ということですね。)
まとめ
「動かすと痛い」ことの理由は、
①生理的な最大可動域を超えて動かしてしまうから
②生理的な最大可動域が狭くなって、許容値が少なくなっているのにそれを超えてうごかしてしまうから
ということです。
このような場合、痛みを感じないで過ごしていくための方法は「2つ」しかありません。
1.狭くなった最大可動域の範囲の中で、許容値を超えることなく生活する。
2.狭くなった最大可動域の範囲を拡げ、許容値を増やして生活する。
(最大可動域には「筋力」や「筋肉の柔軟性」なども関わります。)
(「許容値」は放っておくと年々小さくなってしまいますから、その点も考えておいた方が良いでしょう。)
≪補足≫
椎間関節の最大可動域が狭くなってしまう要素も様々です。
●脊柱側筋群の弱化、線維化
●椎間関節関節包の癒着や硬化
●椎間関節内滑液の減少、機能低下
●椎間関節配列の乱れ
治療を組み立てる時には、これらを段階的に解決する手段を考えていきます。
(以下の写真は治療例)
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