なかなか治らない顎関節症でお困りの方へ


(この記事は、なかなか治らない顎関節症でお困りの方向けの内容となっています。)

 

顎関節症でお困りの方の中には、

歯医者さんでマウスピースを作ったけれど、良くならない。

開口訓練をしているが、痛みが消えない。

自分でマッサージしているけれど、口が開かない。

…など、顎関節症の治療、セルフケアをしていても、なかなか改善がみられないという方がたくさんいらっしゃいます。

挙句の果て、「顎関節症は治らない」と言われたりして、メンタルまでやられてしまう方まで…。

 

そのような方には、「顎関節だけの治療ではなく、首の治療を合わせて行なうこと」を提案させていただきます。

 

何故ならば、顎関節症は「顎関節がズレること」で起こりますが、その「顎関節のズレ」には頚椎の歪みが関わっていることがあるからです。

そういう場合には、顎関節の治療だけをしても効果は半減ですから効果が出てこない可能性があるのです。

 

それを順に解説していきますので、最後までお読みになって参考になさってください。


顎関節の基本的な形

まずは、「顎関節」がどのようなものかを知っておいてください。

 

顎関節は「頭蓋骨(とうがいこつ)」と「下顎骨(かがくこつ)」という2つの骨のつなぎ目の関節です。

頭蓋骨には凹の形をしている「下顎窩」があり、そこへ下顎骨の凸の部分である「下顎頭」がはまり込んで関節の形を作っています。

間には「関節円板」があり、クッションの役割をしています。

 

 


顎関節は靭帯と筋肉によって吊り下げられている

下の図は、顎を動かす筋肉です。(咬む時に働くので「咬筋(こうきん)」と呼ばれています)


下の図は、顎関節を補強している靭帯です。


「下顎骨」は約1kgの重量があり、この靭帯によって、下に落ちないように「吊り下げられている状態」です。


この状態はいわば、測量で使う「錘球」のようなものですから、下顎骨の軸は「地面に対して真っすぐ垂直線上」に位置します。

この働きで我々は「身体の軸」を保ち、バランスを取っているんですね。

運動選手が「噛み合わせ」を重視したり、マウスピースで歯や顎関節を守っている理由は「顎関節は身体のバランスに関わっている」ということを知っているからです。

 


下顎骨は吊るされた状態で「地面に対して垂直線の位置」を守りますから、頭が傾いても軸はズレません。

※ 読みながらで結構ですので、「頭の傾きと下顎骨の移動」を体感してみてください。

顎の力を抜いて歯を噛みしめずに頭を真っすぐの状態から、左右どちらかに傾けてみましょう。しばらくそのままの姿勢でいると、頭を傾けた側の顎関節からほっぺた辺りが引っ張られた感覚、または頭を傾けた側の顎関節辺りに詰まったような感覚が出てくるはずです。

このように下顎骨は頭が傾いても「垂線軸」を守るように働いてくれているのです。

 


頭が傾いてもアゴ(下顎骨)は垂線から外れないのですが、頭蓋骨とアゴ(下顎骨)の軸が相対的にズレてしまいます。

 

例えば頭が右に傾いても下顎骨の軸は垂直線のまま変わらないため、左の顎関節のズレが大きくなります。

頭位が真っすぐに戻れば頭蓋骨と下顎骨の軸がそろいますが、ずっと頭の傾きが続くと「顎関節はズレたままの状態」が続くことになります。それがさらに続くとどんどん靭帯が引き伸ばされて顎関節の緩みが強くなって不安定となり「顎関節症」となるわけです。

このように、なかなか治らない顎関節症の中には「頭が傾くことによって顎関節のズレを起こしている」ことが原因のものがあるということです。

このようなパターンで発生した顎関節症では、マウスピースや開口訓練など顎関節に対してのみ治療していても、なかなか改善がみられません。

 


☆「頭の傾きが顎関節の位置に影響を与える」ということを体感していただくために、以下の実験を試してみてください。

 

(実験)頭の傾きは顎関節の位置に影響する

頭の傾きは顎関節の位置に影響を与えます。体感していただくために、以下のような実験をしてみてください。

 

① 頭が真っすぐな状態で座り、何度か歯を軽くカチカチ噛み合わせる。

(噛み合わせた時に、並んでいる歯のどの辺りが一番当たっているか?を感じておいてください。)


② 次に、頭を少し前に倒して、何度か歯を軽くカチカチとかみ合わせる。

(①の時よりも、前の歯がよく当たるようになっているのが分かると思います。つまり「頭を前に倒して、顎が前に移動した」ということです。)


③ 今度は、頭を少し後ろに倒して、何度か歯を軽くカチカチをかみ合わせる。

(奥歯の方がよく当たるようになっているのが分かると思います。「頭を後ろに倒すと、顎が後に移動した」ということです。)


④ 頭を右に傾けて、同じように何度か歯を軽くカチカチとかみ合わせる。

(右に頭を傾けてすると、右側の歯がよく当たるようになっているはずです。これは、頭を右に傾けると左側の顎関節が前に移動し、右側の上下の歯が接近することで起こる現象です。)

 

(※ 詳しくはこちらへ → 顎関節症と首の傾きと顔のゆがみ )

 

このように、頭の傾きによって顎は移動するため、顎のズレが重度の人は「頭が常に傾いた状態」になっている可能性があるということです。

 

【頭が傾く理由】

「なぜ頭が傾いてしまうのか?」という理由はいくつかあるのですが、代表的なものは「背骨が曲がってくるから」ということです。

下図をご覧ください。

背骨の土台となっている骨盤に歪みや傾きが発生すると、それに応じて「腰椎 → 胸椎 → 頚椎」と徐々に曲がってきてしまいます。

顔の歪みや顎関節症がある人は、腰痛や肩こり、首こりなど併発症状を持っていることが多い理由がここにあります。

ですから、状況によっては骨盤や脊柱、下肢から治していかないと、顔の歪みも顎関節症もなかなか治らないことがあるのです。

 

※ こちらの記事も合わせてお読みください  → 顔の歪みは「足組み」「骨盤の歪み」から

 


【顎関節症を治すためには?】

顎関節症を起こすメカニズムは非常に複雑で難解なのですが、今回は「顎関節のズレに頭の傾き(頚椎のズレ)」が関わるものを解説しました。

このようなパターンに陥っている場合には、スプリント(マウスピース)や開口訓練、マッサージなど「顎関節への治療だけ」では不十分で、「頭の傾きを真っすぐにする」ために頚椎を含めて治療していくことが望ましいでしょう。

(下の写真は当院で行なっている頚椎への治療の様子です。)

 

 


【初回無料カウンセリングのご案内】

当院では「初回無料カウンセリング」を行っております。

「初回無料カウンセリング」では、お困りの症状について問診、各種スクリーニングを受けていただいた後、「原因」を見つけ出し、それに応じた治療法、治療の組み立てをご提案させていただきます。

※ 初回カウンセリングの際には、悪化させていると思われる悪習慣を探し、改善するための日常生活指導をさせていただきます。まずはそれを一定期間実践していただき、それでも改善がみられない場合に治療開始するというスタンスで構わないと思いますので、遠慮なくご活用ください。

(初回カウンセリング時の治療は行っておりませんのでご了承ください)

 

「初回無料カウンセリング」へのお申し込みは、下記のお問合せフォームからお願いいたします。

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【メールでのお問い合わせ、ご相談】

メールでのお問い合わせ、ご相談もお受けしております。 ( → info@funa-in.com )

顎関節症、顔の歪みなどについてのご相談時に「写真添付」していただくと、より詳しく回答できるかと思います。

 

写真は、『お顔の ①正面象(口を閉じた状態) ②正面象(口を開けた状態) ③正面象(口をイーッとした状態)』の3枚を添付していただけると助かります。(ご相談以外に写真データを使用することはありません。ご相談終了時にデータは廃棄いたします。)

 

 


(参考:西原 克成, 手嶋 通雄, エネルギーを本格的に導入した「顔と口腔の医学」の樹立, 日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学, 2012, 32 巻, 1-2 号, p. 152-168,