「関節拘縮」の予防と改善のためには

「関節拘縮」とは、関節の完全可動域が失われた状態と定義されます。
つまり関節の動きが悪くなり、本来動くところまで伸ばしたり曲げたり出来なくなった状態のことです。

関節拘縮の原因となる疾患は様々ですが、「関節を動かさない」ということが拘縮を助長する要素であることは共通していると思われます。

リハビリ医学系の論文報告をみると、関節運動の減少は局所の血流低下と栄養状態の悪化をまねき、関節構成組織の脆弱化につながるとしています。(脆弱化するということは「壊れやすい」ということです)

本来傷めた組織は正常組織に「再生」されるはずなのですが、前述のように関節運動が少なくなっている場合、血流と栄養状態が悪くなっているため正常組織への再生がうまくいきません。再生されたとしても「弱い組織」であるため壊れやすく、何度も何度も傷めていく…という悪循環に陥りやすくなります。そして何度も何度も傷め、再生された組織は正常組織ではなければ、これが長年にわたって続けば関節は「変形」してしまうということになります。

関節の拘縮と将来的に起こり得る関節の変形(時には強直)を防ぐためには関節を動かすということが必要になりますが、報告によれば高強度・短時間の伸張運動は「筋原線維芽細胞」の産生を助長し、拘縮を加速させるとしています。(筋原線維芽細胞が増えるとかたくなり、柔軟性が悪くなってしまいます)

拘縮の予防、改善のためには、適度な強さと時間を考慮しつつ、関節可動域の最終限界まで伸張力を働かせ、短縮した関節包や周辺靱帯を伸長させる必要があります。
具体的な方法としては、固定器具や機械による持続牽引、セラピストなどによる徒手的矯正が挙げられますが、それぞれに一長一短があるため、患者さんの状態に合わせて一定期間行うことが望ましいと思われます。

参考文献 : 関節拘縮 ~その予防と治療~ (赤井)リハビリテーション医学 2003

 


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