「動かすこと」の重要性

動かさないと 「廃用症候群」に

動かさなくなることで身体の様々な機能が失われるものは「廃用症候群」と呼ばれます。
どんな人でも運動不足などが続き、筋肉や関節をしっかりと動かしておかないと、徐々にではありますが筋力は低下して関節の動きも悪くなり、骨ももろく弱くなっていきます。
最初は日常生活に支障のないレベルでも、10年、20年、30年とその状態が続けば、筋肉の萎縮と関節の拘縮を起こす可能性が高くなります。

※ 障害者の方の場合
脳性麻痺や脳卒中などの「中枢神経系」の病気の場合、筋肉の麻痺が起こり、関節を動かす事が出来なくなります。動かさない事は筋肉の萎縮と関節の拘縮につながります。
障がい者の方は、自分の意思で動かす事が困難になっているケースが多く、そういう点からみると「廃用症候群」を起こしやすいと言えます。

リハビリテーション医学の分野で発表されている論文には、動かさないことが廃用症候群を惹き起こすため、それらに対して改善の方法を報告しているものが多数あります。

動かさないことが惹き起こす様々な問題

様々な論文により報告されていることは
1.  筋肉や靭帯など線維性構造を持った組織の細胞が線維化、癒着を起こす
2. 不動による血流不全を起こし、局所細胞への血流低下、栄養の減少を起こす
3. 上記の問題は、当該組織の脆弱化つながり、ミクロレベル、マクロレベルでの組織破壊を起こし、長期的には関節変形や関節強直(完全に動かなくなってしまうこと)につながる可能性が高くなる
(※関節強直に関しては、患者のQOLとの兼ね合いもあるが手術適応となることが多い)

つまり何らかの形で筋肉や関節を動かしておかないと、将来的には筋麻痺や関節拘縮が進行し、関節強直にまで陥る可能性が高くなることを示唆しています。

「動かすこと」の重要性

筋肉の萎縮、麻痺、関節の拘縮を防ぐためには、どのような形であれ「動かすこと」が必要です。関節を曲げる、伸ばす、を繰り返すということです。(繰り返すというのが重要です)
注意点として、最初は組織が脆弱化しているため低負荷から始めること。報告によると、低負荷と反復がポイントで、周期的に、一定期間行うことで、腱や靭帯、筋肉の柔軟性が高くなり、拘縮の改善が図られるとされています。

ご家庭においても、家族の方や周囲の方により運動療法を行う事で、患者さんの関節強直を防ぎ、麻痺や拘縮の改善につなげられるはずです。ぜひ少しずつでも「動かすこと」を行うようにしてあげてください。

☆動かす方向、力加減など適切な量があります。判断が難しい場合にはご相談下さい。
☆機能訓練、運動療法などのリハビリは、開始する年齢や素因などによって予後や効果が異なりますが、やらなければ廃用症候群に陥る可能性は高くなります。

 


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