刑事コロンボと お骨上げと カルシウム

先日、亡くなられた患者さんのご家族から聞いたお話です。

ご遺体を火葬しお骨上げの時、そこにいた職員さんが

「長く患っておられたようですね。」と言ったそうです。

そして「故人さまは車椅子を使われていたのではないですか?」とも。

 

「どうして分かるんですか?」と聞くと、

「長患いでお薬をずっと使っておられた方の遺骨の色は違うんです。」とのこと。

そして「寝たきりの期間が長かった方の骨は弱くなっているので遺骨が残りにくい。特に足の骨はほとんど残らない。

この方の遺骨は足の骨は残っていないけれど、背骨が残っている。座った状態が長かったということがわかります。」

 

なかなかの推理力です。

刑事コロンボシャーロックホームズにも負けていないかも。

 

確かにその方(故人様)は、30年前から肝炎を患っておられ、肝がんになり、長い間お薬を飲んでおられました。

去年、転倒した際に上腕骨を骨折し、再度転倒して大腿骨頚部骨折をされました。

大腿骨頚部骨折の後、リハビリも頑張って歩行可能となりましたが、

今年になって体調を悪くされてからは車椅子を使う頻度が増えていたようです。

 

「薬を使っていた人の遺骨は色が違う」という説については、科学的根拠があるのか無いのか議論の分かれるところです。

経験的なものなのかもしれません。

 

しかし「車椅子を使っていた」という事に対しては説明がつきます。

 

骨というのは身体を支える働きを持ちます。

支えるためには一定の強度が必要です。

その強度を保つために骨はカルシウムで出来ています。(体内のミネラル成分の中ではカルシウムが一番都合が良い)

 

荷重がかかるところにはカルシウムが集まるけれど、荷重がかからないところからはカルシウムは抜けていくのです。

 

よく知られた話として、

「宇宙から地球に戻ってきた宇宙飛行士は骨粗鬆症になっている。」というもの。

宇宙飛行士は無重力の中で一定期間過ごすため、身体を支える必要が無くなります。

すると骨からはカルシウムが抜けていき、スカスカになってしまうのです。

この方の場合、足への荷重が少なくなって足の骨は弱くなっていたけれど、

車椅子の生活で座っていたため背骨へ荷重はかかるので、足に比べると強度は保てていた、ということでしょう。

 

身体の骨は重力荷重を受けることと、筋収縮による骨軸方向への荷重を受ける事によって、骨強度を保っています。

 

どんな人でも運動しておかねば身体の強度は下がるんです。

だから何らかの形で運動しなければならない。

けれど多くの人が運動するための時間を持つゆとりがない。

「やらないよりはマシ」とスキマ時間にストレッチしたり、階段を使うようにしたりするけれど、期待するほど大きな効果は出てこない。

なかなか難しい現実です。

 

1日に1時間くらい、ブラブラと散歩出来るような生活が理想的なのですが。。。


ご相談、お問合せはお電話(06-6334-0086) または以下のお問合せフォームからお願いいたします。

https://funa-in.com/contact/