高い枕は脳卒中の原因になる ~殿様枕症候群~

高い枕は首を痛めるだけでなく、脳卒中の原因になる

「高い枕じゃないと眠れない」、「高い枕がラク」という方は気をつけてください。

高い枕は首を痛めやすく、脳卒中を起こす原因になるという研究報告が出ています。

国立循環器病研究センター脳神経内科の江頭柊平医師、田中智貴医長、猪原匡史部長らのグループが、枕の高さ、硬さと脳卒中の原因のひとつである「特発性椎骨動脈解離」の関連を研究し、「Shogun pillow syndrome」として報告しました。(日本では「殿様枕症候群」と呼ぶのですが、「SHOGUN」を日本語に訳すと「殿様」になるのがちょっと違和感ありますね。)

「特発性椎骨動脈解離」とは、首すじの後ろを通っている椎骨動脈という血管が裂けてしまい脳卒中を起こす疾患です。命に関わるものもあれば、麻痺などの障害が残ることもあります。

※ 特発性椎骨動脈解離についてはこちらの記事: 首こり、肩こり、が強くて頭も痛くなる ~命に関わる椎骨動脈解離~

この研究では、起床時発症で先行する外傷などのない椎骨動脈解離の患者さん53人と使っていた枕の関係性を調べたところ、枕が高いほど特発性椎骨動脈解離の発症割合が高く、硬い枕も関連性が顕著であるとしています。(参考: 国際学術誌「European Stroke Journal」オンライン版2024年1月29日掲載)

一般的な枕の高さが8cm程度、12cm以上を高い枕、15cm以上を極端に高い枕として調べたところ、12cm以上の高さの枕では約3倍、15cm以上の高さの枕では約10倍椎骨動脈解離を発症しやすいことがわかりました。

枕が高いと首を屈曲位(頭を前に倒した姿勢)に強制するため、椎骨動脈に大きなストレスがかかるためと考えられています。さらに寝返りや横向きで寝ると、頚椎に回旋力(捻じる力)も加わり椎骨動脈が裂けてしまいやすいことが示唆されています。
この傾向は、昔殿さまが髷がつぶれないために使っていた「箱枕」のような硬い枕でより顕著にあらわれるため、「殿様枕症候群」と名づけられたようです。

高い枕や横向き寝などは首にかなりのストレスをかけてしまいます。習慣化すると「頚椎椎間板ヘルニア」や「変形性頚椎症」に陥りやすくなるため、思い当たる方は気をつけてください。

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