尻もち外傷 ~実は色々なところを痛めてしまいます~

「尻もち」をついたことのない人はいないかもしれません。

足腰の弱くなった高齢者の方だけでなく、階段や雨の日に足が滑って…とか…。

外で尻もちをついたりこけたりすると、人に見られているのが嫌で恥ずかしくてすぐにその場から離れようとするものですが、あとになって色々なところに痛みが出たりすることがあります。

安易に放置することなく、状態をしっかりみてしっかりと治していただきたいです。

 

尻もちでぶつけやすいところ

尻もちをついてぶつけやすいところは、尾てい骨、坐骨、大腿骨大転子部などです。

これらの部位だけでなく他のところもぶつけていることが、あとになって痛みや内出血で分かることがよくあります。

ぶつけたところは「骨折」している可能性がありますので、念のために整形外科でレントゲン写真を撮ってもらうのが良いでしょう。ぶつけたところ以外でも、衝撃によって背骨の骨がへしゃげるように骨折することもあります。(脊椎圧迫骨折)

 

打撲ですか? 骨折ですか?

患者さんから「これは『打撲』ですか? 『骨折』ですか?」と聞かれることがあります。

患者さんは「骨折してなければ打撲」という認識のようですが、「打撲」はあくまで「ぶつけた」という行為そのものです。

ですから、ぶつけて骨が折れていれば「打撲による骨折」ですし、ぶつけて骨が折れていなければ「打撲による軟部組織損傷(筋肉、靭帯、場所によっては軟骨、関節包など)」ということになります。

 

尾てい骨をぶつけた場合

尾てい骨は「シッポの名残」と言われていて、ヒトでは不要なものと思われているようですが、実は重要なところです。対処法、後遺症なども含め、別記事に書いていますので、尾てい骨を痛めた方はこちらの記事をお読みください。

→ 尾てい骨の打撲

 

骨盤、股関節、恥骨へのダメージ

「骨は折れていない」と聞くと患者さんは安心してしまうのですが、「骨以外へのダメージ」は案外大きく、予後の悪いものもあるので注意が必要です。

①仙腸関節 ②恥骨結合 ③股関節 は、骨盤の安定性に関わるため、傷めてしまうと骨盤の歪み、不安定性から腰痛や股関節の痛みにつながることもあります。(詳しくは別記事にて)