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ストレスからくる頚性うつへの治療法 ~物理的ストレスからくる症状を取り除く~
「頚性うつ」とは、首こり(首の筋肉の筋肉の癒着、線維化など)によって起こる症状が引き金となって発症する「うつ」のことです。
ですが、首の筋肉の異常がすぐに「うつ状態」を引き起こすのではなく、しつこい首こり感、肩こり感、筋肉の過緊張が続くことで「自律神経失調症状」がみられるようになり(頚性神経筋症候群)、さらに不快症状が続くことが大きな精神的ストレスになって「精神症状」があらわれるようになったものを「頚性うつ」と呼びます。

(※ 「頚性うつ」について詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください
→ 首の筋肉のコリから起こる「うつ」 ~「頚性うつ」とはどんなものですか?~ )
精神的ストレスが長く続いたりした時や、うつ病や適応障害、パニック障害などと診断を受けておられる方の中には、頑固な肩こりや首こり、腰痛などの身体症状と、頭痛やめまい、吐き気、耳鳴りなどの自律神経症状が併発しているケースが多くみられます。
しかし、精神症状と身体症状、自律神経症状を切り離して治療を進めておられる方が多く、なかなか改善がみられていないようです。
そのような場合、身体症状と自律神経症状のつらさがさらに「精神症状」を悪化させるという悪循環に陥るケースがすくなくありません。
これらは、頚椎を含めた頚筋の治療をすることで症状の緩和がみられます。
今回は、「頚性うつ」の原因と治療法について書きますので、参考になさってください。
「頚性うつ」、「頚性神経筋症候群」とはどんな病気ですか?
頚性神経筋症候群とは、首すじの筋肉の緊張、コリが続くことで血流不良から炎症を起こし、自律神経失調症状を含めた数々の不定愁訴(原因不明の頭痛、めまい、倦怠感、易疲労、多汗、不眠、血圧不安定、うつ状態など)がみられるようになったものを言います。
頚性神経筋症候群のうち、うつ症状がみられるようになったものは「頚性うつ」、「頚筋性うつ」と呼ばれます。

頚性神経筋症候群や頚性うつの治療としては、異常がみられる筋肉の緊張やコリをほぐすことで改善がみられることから、筋肉をやわらかくする薬や注射を使う、電気治療、鍼治療、マッサージなどが選択されることが多いようです。
姿勢や骨格の個人差、心理状態によって緊張やコリの場所が違うのですが、下記の筋群に異常がみられることが多く、治療対象とされています。
首こりを起こしやすい筋肉の例

特に「頭半棘筋」、「頚棘筋」などは、頚椎、胸椎の横にある「自律神経節」に影響を与え、自律神経失調症の症状をあらわすことが多く、治療ポイントとしては重視されています。(鍼治療、トリガーポイントへの生理食塩水注射など)
首こりから起こる頚性神経筋症候群、頚性うつの原因
頚性神経筋症候群、頚性うつは首こりが悪化することで起こります。
首すじの筋肉や頚椎に負担をかけ、首こりを悪化させてしまうものには以下のようなものが挙げられます。
もしもご自身で当てはまるものがある場合、あらためるようにしてみましょう。
高い枕、横向きで寝る
日常的に高い枕で寝ていたり横向きで寝ていると首すじの筋肉に負担をかけたり頚椎のズレを引き起こし、首こりや肩こりを悪化させてしまいます。
「高い枕が楽だから」、「横向きじゃないと眠れない」という方がいるのですが、そういう方は頚椎のズレや骨盤の歪みが根本にあるかもしれません。
(※ 詳しくはこちらの記事で解説しております。 → 高い枕や横向きで寝ることの弊害 )
うつ伏せで寝る
高い枕、横向きで寝ることよりも首すじの筋肉や頚椎への負担の大きい寝方です。
首こり、肩こりの原因となるだけでなく、頚椎を通る「椎骨動脈」を圧迫することでめまいが出ることもあります。
(※ うつ伏せで寝ることが習慣になっている方は必ずこちらをお読みください。 → え? アナタ、うつ伏せで寝てる人??)
パソコン、スマホなどの長時間の使用
良い姿勢であっても長時間続けていれば「筋疲労」から首こり、肩こりは起こります。
しかし、パソコンやスマホなどの座位作業では首すじから背中にかけての筋肉への負担が大きく、首こりや肩こりになりやすい姿勢といえます。
しかも同時に目にも負担をかけているので「眼精疲労」から首こり、肩こりを起こしやすくなります。
(※ 目の疲れや眼精疲労の症状が目立つ方はこちらも合わせてお読みください。 → 眼精疲労ってどんなもの? どうしたら良くなる? )
猫背、ストレートネック
もともと猫背気味の方やストレートネック気味の方は頭が前に倒れているような状態なので、首すじから背中にかけての筋肉に大きく負担がかかります。
その負担に見合った筋力を持っていれば特に問題は出ないのですが、運動不足、筋力不足であると負担を受けきれず、首こりや肩こりがなかなか治りません;
(※ 猫背、ストレートネック自律神経失調症の原因のひとつです。こちらの記事で解説しております。 → 猫背の人にみられる症状 ~ 自律神経失調症 ~ )
様々な不良肢位
上記以外にも頚性神経筋症候群を悪化させる姿勢、習慣はたくさんあります。
ご紹介し切れないのため、こちらの記事でまとめてありますので参考になさってください。 → 基本に戻って「姿勢」のことを考える ~悪い姿勢を続けているとどうなるのか?~ )
精神的ストレス
精神的ストレスは脳へ負担をかけます。特に脳の深部にある視床下部、下垂体は自律神経の中枢なので、精神的ストレスが続くと自律神経失調症に陥る方が少なくありません。
さらに精神的ストレスは、動物的な防御反応を起こさせて筋肉を硬くこわばらせてしまいます。(特に首まわりの筋肉は「脳」を守るために硬くなりやすい。)
持続的な筋緊張が首こり、肩こりの原因となると同時に脳血流を低下させ、さらに自律神経系のバランスを崩すようになってしまいます。
「精神的ストレス」以外の首こりの原因
上述のように、うつ病や適応障害、パニック障害のような疾患は「精神的ストレス」によって悪化することが多い疾患です。
しかし、肩こり、首こり、腰痛などの「身体症状」と、頭痛やめまい、吐き気、耳鳴りなどの「自律神経症状」の原因はそこだけにあるとは言えないのです。
ストレスには「精神的ストレス」だけでなく、「物理的ストレス」もあるのです。
そこに焦点を当てて考えていくと、「頚性うつ」の治療法が見えてきますので、順を追って説明していきますね。

【神経は圧迫や牽引、締めつけられるのに弱い】
まず知っておいていただきたいのは、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」に代表されるように、神経は圧迫や牽引、締めつけ応力など物理的ストレスに弱いということです。
圧迫、牽引、締めつけ応力などの物理的ストレスによって神経が障害され、痛み、痺れ、麻痺などを起こすことが知られています。
≪椎間板ヘルニアが神経を圧迫している様子≫

【神経の種類とストレス】
神経には、筋肉を動かすための「運動神経」、様々な感覚を脳へ伝える「感覚神経」、内臓や血管などを調節する「自律神経(交感神経と副交感神経の2種類があります)」に分けられます。
もしも「運動神経」が圧迫や牽引ストレスを受けると、筋肉を動かしにくくなったり筋力が衰えたり(運動困難)、動かなくなったりすることがあります(運動麻痺)。
「感覚神経」がやられちゃうと、感覚が鈍くなったり鋭くなったり(感覚異常)、全く感じなくなることもあります(感覚麻痺)。
「自律神経」も同じように、物理的ストレスによって障害を受けることからの症状(自律神経失調症状)が出ます。
しかも、下図のように自律神経は全身につながっており複雑で多彩な症状となりやすいのです。

そして自律神経の中枢は脳の「視床下部」というところにあり、脳へのストレス(言い換えると「精神的なストレス」)の影響を受けやすく、自律神経は圧迫や牽引などの「物理的ストレス」と「精神的ストレス」によって傷んでいくということになります。
【自律神経への圧迫ストレスが自律神経失調症の原因となる】
上述の通り、自律神経は物理的、精神的ストレスによって傷んでいくワケですが、精神的ストレスの回復、調整にはレベルによって様々なアプローチが必要ですし、簡単に変えられるものではないため、別記事でご紹介する予定です。
物理的ストレスには「交感神経節への圧迫、牽引ストレス」が考えられます。
下図は自律神経のうち交感神経節の位置を示しています。
ご覧になると分かると思いますが脊柱(せぼね)に沿って位置し、交感神経節を経由して全身の臓器、血管に分布します。
これはいわば「交感神経の根っこ」に当たる部分ですので、もしも脊柱の歪みや捻じれが発生すると、神経が圧迫されたり引っ張られたりして傷みやすくなります。(これが自律神経失調症状の原因となる可能性があります)

下の図は首の横を通る自律神経(交感神経)の様子です。


頚椎(首の骨)のすぐ横に位置していますので、首の骨のズレや歪みによって、圧迫や締め付けのストレスを受けやすいのです。
頚部交感神経節は頭部、顔面だけでなく、広い範囲で分布しますので圧迫や締め付けによって、首こり、肩こり、めまい、ふらつき、頭痛、耳鳴り、うつ症状や不安感、など様々な症状が出現します。
そして、首の骨のズレや歪みがあると首から背中の筋肉が硬くなり、肩こりや首こりなどの症状がみられるようになります。
さらに、これらの不快な症状がストレスになり、症状から抜け出せない悪循環に陥ってしまうのです。
(簡単にまとめて言えば、「背骨が曲がっていると自律神経を圧迫したり、筋肉が硬くなったりして色々な症状が出てきます」ということです。)
※ ご自身で背骨を真っすぐ整える方法はこちらを参考にしてください。 → 今晩から出来る「背骨の歪み解消法」

【参考文献】
北村歳男、山鹿眞紀夫、井出淳二、高木克公(熊本大学医学部整形外科教室)、診療新社
頚性うつ、頚性神経筋症候群について、詳しくは以下の記事も合わせてお読みください。
→ 首の筋肉のコリから起こる「うつ」 ~「頚性うつ」とはどんなものですか?~
【当院で行なう治療 ~首こりを除去し自律神経を整える~ 】


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※ 自律神経失調の症状があり、首こり、肩こり、頭痛などの併発症状がある場合、頚椎のズレ、後頭下筋に問題があるかもしれません。思い当たる方は以下の記事もお読みください。
● 後頭下筋への治療についての考察(トリガーポイント、頚性神経筋症候群、筋硬結など)
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