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「仰向けで寝ると腰が痛くなる」のは何故ですか?
この記事は、「仰向けで寝ると腰が痛くなる」、「朝、起きたら腰が痛い」という方向けに書いてあります。
このような腰痛のほとんどは「腰椎の可動性の低下(動く範囲が狭くなっているということ)」によるものですが、その「可動性低下の理由」には様々なものがあり対処法が違います。
当然のことながら、状態に合った対処法をしなけば効果はあまりみられませんので、注意が必要です。
記事を最後まで読んでご自身の状態を知り、腰痛克服の参考になさってください。
仰向けで寝ると腰が痛くなるのは何故ですか?【腰椎の反り方】
仰向けになると分かると思いますが、寝ると自然と腰は反ります。
その際に、腰椎の動きにゆとりがあれば(可動性がじゅうぶんであれば)腰を反らせても痛みは出ません。しかし、腰椎の動きにゆとりが少なければ痛みを感じやすくなります。
腰椎の動きにゆとりの少ない方は、日常的に背中が丸くなっていたり、背筋を伸ばそうとすると痛みを感じることが多いので余計に背中が丸くなっています。(猫背傾向)
それに加えて背筋を伸ばすことの出来る筋力が無いと、すぐにしんどくなって背中が丸くなってしまい、さらに動きが悪くなって背筋が伸ばせなくなって…という悪循環に陥りがちです。
正常な背骨の持つカーブ
頚椎は「前弯」、胸椎は「後弯」、腰椎は「前弯」というカーブを描くのが正常な状態であり、このような背骨が描く正常なカーブの姿のことを「生理的弯曲」と呼びます。
腰痛が出ないためには背骨全体が正常なカーブを持っていることが望ましいわけですが、正常なカーブであっても動きが悪くなっているのであれば痛みが出ます。(油の切れた機械や錆びついた機械だとギシギシ動いてどんどん傷んでいくような感じです)
逆に言えば、どれだけ背中が丸くなって、腰も丸くなってしまった状態であっても、しっかりと広く大きく動かせるのであれば痛みは出にくいわけです。(テレビ番組で紹介される「山奥で一人暮らししているおばあちゃん」みたいな方は、腰が曲がってても膝が変形してても元気に動いておられますよね)
では、どのくらい動くことが出来れば良いのでしょうか?
どのくらい腰が動けば痛みは出ないのでしょうか?【腰の可動域】
腰の動きには、前屈(身体を前に曲げる)、後屈(身体を後ろに反らせる)、側屈(身体を左右のどちらか横に曲げる)、回旋(身体を捻じる)などがあり、それらのどの動きが制限されても腰痛の原因となりますが、特に重要になるのは「前屈」と「後屈」です。
「日本リハビリテーション医学会」、「日本整形外科学会」による腰部の前屈、後屈の参考可動域は、前屈:0~45°、後屈0~30°であり、多少の個人差はありますが、前後合わせて約75°の動きの幅を持っています。
ですから、「前後75°」という正常の可動性を持っている人であれば、その範囲内なら痛みが出ることなく動けるはずですが、それを超えてしまうと腰部の筋群、関節、椎間板、靭帯などへのストレスが増えて痛みが出やすくなる、ということです。
しかし、筋肉の柔軟性が悪くなったり、筋肉の癒着や線維化がみられたり、椎間板の含水量が減って「腰椎の可動性」が悪くなってしまった人は、「前後75°以下」の動きでも痛みが出るかもしれません。
普段から腰椎の可動性が低下(前後75°以下に)していて、「前かがみしにくい」とか「腰を反らしにくい」という自覚がある場合、日常生活で動かす範囲内でも痛める可能性が高くなるでしょう。
ちなみに、いわゆる「ギックリ腰」では、前かがみになる時(前屈時)か、腰を反らすような動き(後屈または物を持ち上げるような動き、前屈位から後屈位への移行時)で起こることが多いので、例えば前屈位の可動域が30°しかなかったら31°以上前かがみになれば痛めるでしょうし、後屈位の可動域が20°しかなければ21°以上腰を反らせば痛めてしまうでしょう。
言い方を変えると、「動きの許容値」、「動きのゆとり」が少なくなってくると痛めやすいということです。
※参考: 「関節可動域表示ならびに測定法」公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 公益社団法人 日本整形外科学会
朝起きても腰に痛みが出ないようにするためには? ~腰椎の動きを改善するストレッチ~
腰椎の動きのゆとりを作るためのエクササイズをご紹介します。
ここでご紹介するのは「腰椎の可動域がかなり悪い人(少しでも腰を反らしたり曲げたりする動きの中で痛みが出るような人)向け」に出来るだけ安全に行う方法ですので、人によっては「物足りない」かもしれません。その場合は、巷には様々なストレッチ法、トレーニング法の情報が流れていますのでご自身に合った方法を探してみてください。
簡単ストレッチ ①
1.仰向けで横になりバンザイのポーズを取ります。
(上述のように、仰向けで寝るだけで腰椎は少し反りますが、バンザイすることでさらに少し反ります。)
2.足首は「90°(直角)」にする。
3.その状態で「背筋を伸ばす」ようにする。(最初の状態からさらに反ります。)
4.足首を「底屈(つま先を下に向ける)」する。(さらに少し腰が反るはずです。)
このストレッチは、許容値が少なくなっている腰椎の動きを、少しずつ少しずつ引き出すためのものです。
もしも痛みが出てくる場合は、それ以上無理せずにストップ。
一日に何回かに分けて、少しずつ行うようにしてください。
簡単ストレッチ ②
※ ヨガでいう「猫のポーズ」です。
1.正面を向いて、四つ這いになります。(この時点で少し腰が反ります)
2.少しずつ顔を下に向けておへそを見るようにしていきます。(少しずつ背中、腰が丸くなる)
3.再度、正面を向くように顔を上げていきます。
4.1~3を繰り返し行います。
参考文献:三谷 保弘, 森北 育宏, 静的立位における矢状面での腰仙椎アライメントと体幹筋力および下肢筋伸張性との関係, 理学療法科学, 2008, 23 巻, 1 号, p. 35-38,
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