Q&A 首の痛み

このページでは、みなさまから寄せられた質問、患者さまからよくある質問に対して、わかりやすく解説していきます。

(随時更新中)

はじめにお読みください

ほとんどの痛みは、「筋肉」、「関節」、「骨」のどれかが関わっている

筋肉や関節、骨など身体の動きに関わるところを「運動器系」と呼びます。

首や腰、肩や膝、太ももやふくらはぎ、手首や足首、手足の指など、運動器系の痛みのほとんどは、「筋肉」、「関節」、「骨」のいずれか(もしくは複数)に何か悪いことが起こっていることが原因です。

「関節」は、骨と骨とのつなぎ目のところで、骨と骨をつないで補強している「靭帯」、摩擦を防いで動きをスムーズにするための「軟骨」、関節を包んでいる袋である「関節包」などで作られています。

関節の種類によっては、つなぎ目のところにクッションの役割をする軟骨の一種である「椎間板」や「半月板」が挟まっているものもあります。(背骨:頚椎、胸椎、腰椎や、膝関節など)

 

「〇〇が痛い」という場合、上に書いた部分のどこかが悪くなっているはずなのですが、それはひとつではないことがほとんどです。

この記事では各疾患の病態を、「筋肉」、「関節(靭帯、軟骨なども含む)」、「骨」など痛みに関わるものを、「何が?」、「どうなっているのか?」という観点で、出来るだけ詳細に解説させていただきます。

ご自身の痛み、病態の把握や、お医者さんから受ける説明を理解するためのヒントにしていただければと思います。

 


首が痛くてレントゲンを撮ってもらいましたが、「骨には異常無し」と言われました。このような場合、何が悪くなっているのでしょうか?

レントゲンでは主に「骨の状態」を確認します。

「骨には異常無し」とのことですので、「骨以外」に問題があるということになります。

そのような場合、年齢にもよりますがほとんどが「筋・筋膜性疼痛症候群」と考えられます。

 

以前は「骨には異常がない」というものはあまり重視されず、レントゲンで異常がみつからない時には「湿布と痛み止めで様子をみる」という保存療法が主でした。しかし、昨今では筋肉や筋膜の問題から起こる痛みや凝り感を「筋・筋膜性疼痛症候群」として捉え、研究と臨床への応用が進んでいます。

「筋・筋膜性疼痛症候群」では様々な病態と症状がみられます。

1.筋肉の硬さと凝り感

筋・筋膜性疼痛症候群では、痛みや凝り感などの症状がみられる部位とほぼ一致して筋肉の硬さが触知されることが多いです。

この硬さは局所の循環不全によるものと考えられており、血行を良くするために温熱療法や適度な運動が効果的であるとされています。

 

2.筋線維、筋膜の癒着

筋肉は細い糸のような「筋線維」の集まりで、「筋膜」という膜で包まれています。正常であればやわらかいものなのですが、加齢や日常的に起こる微細損傷により筋線維と筋線維、筋膜と筋膜がくっついて癒着を起こしてしまうようになります。

癒着を起こしている部分は硬くなって伸び縮みしにくいため、凝り感、突っ張り感、詰まった感じなど、様々な症状がみられるようになります。

 

3.癒着剥離による炎症

癒着した筋肉は筋線維同士、筋膜同士の摩擦が増えてしまいます。筋肉を動かしていない状態であればあまり問題は出ませんが、いつも以上に動かすことがあったり、何かのきっかけで癒着した部分が剥離してしまうことがあります。

癒着が剥離するとその部分が傷ついてしまい炎症を起こします。

剥離が大きかったり、何度も何度も剥離を起こすと強い炎症が出たり、長期間続くことがあります。

 

症状の強さは、筋肉の硬さと癒着の範囲・深さによって変わります。

凝り感程度のものから鈍重感、圧迫感など様々ですが、炎症を起こしていると痛みとして感じることが多いようです。