頚性うつ、頚性神経筋症候群を改善するために「自分で出来ること」

頚性うつ、頚性神経筋症候群を治すために自分で出来ること

この記事は、「頚性うつ」や「頚性神経筋症候群」でお困りの方に向け、「自分で治すためにはどうすれば良いのか?」ということをまとめて書いてあります。

「頚性うつ」や「頚性神経症候群」はなかなか治りづらいものではありますが、以下の自己養生を実行することで改善を目指しましょう。

 

「頚性うつ」、「頚性神経筋症候群」とはどんなものですか?

首こりや肩こりは一般的にみられるものですが、こり過ぎたり長期に及ぶと自律神経系に異常がみられることがあります。

首のこりから、緊張型頭痛、めまい、倦怠感、易疲労感、慢性的な疲労感、微熱、不眠などの身体症状や、冷や汗が出る、動悸、血圧が不安定、立ちくらみ、耳鳴り、吐き気、胃痛、胃もたれ、下痢、便秘、頻尿などの自律神経症状などがあらわれるものを「頚性神経筋症候群」と呼びます。

さらに、首のこりからくる自律神経失調症が続き、その不快症状からうつ状態になったり精神症状があらわれるようになったものは「頚性うつ」と呼ばれ様々な研究と臨床応用がなされています。

 

「頚性うつ」、「頚性神経筋症候群」ではどんな症状がみられますか?

頚性うつ、頚性神経筋症候群の症状は、大きく分けて以下の3つです。

1.首の筋肉の過緊張、コリからくる凝り感、鈍重感、痛み

2.自律神経バランスの乱れから起こる自律神経失調症状

3.不快症状とそれに伴う不定愁訴から増強される精神症状

 

初期であれば、首こりや肩こりなど「筋肉の症状」がみられるだけですが、筋肉の緊張、筋肉の硬さが増してくると「自律神経失調症状」まであらわれるようになります。

首こり感、肩こり感だけでもつらいものですが、頭痛やめまい、吐き気などの自律神経失調症状まで重なってくるとさらに不快感が増します。

強くなった不快感はさらに精神的ストレス、不安を強くすることになり、「うつ状態」、「精神症状」などメンタルな症状にまで及ぶようになります。

メンタルな症状は筋肉の過緊張を起こしやすくなりさらにこりを悪化させ、こりが自律神経症状を悪化させ…という悪循環に陥ってしまうんですね。

「頚性うつ」にまで進行してしまっている場合、この悪循環を断ち切り、「筋肉の症状」、「自律神経失調症状」、「精神症状」に対してバランスよくアプローチしていくことが必要です。

 

「頚性うつ」、「頚性神経筋症候群」を改善する3つのポイント

頚性うつ、頚性神経筋症候群を改善するために必要なポイントは3つです。

1.首の筋肉の過緊張、首のコリをやわらかくする

2.自律神経バランスを整える

3.メンタルを安定させる

どれかひとつを改善させようとするのではなく、適切なバランスで行なうようにするのが良いでしょう。

 

身体をリラックスさせる

筋肉が硬くなる理由のひとつは「緊張」です。

自然界の動物の身体は、本能的に日中の活動時間に筋肉の緊張がみられます。獲物を捕らえるためであったり、外敵から身を守るために必要だからです。

現代人であれば、野生の動物のような緊張は必要ないと思いますが、仕事のストレスや人間関係のストレスなどが重なっているので、筋肉は常に過緊張気味です。

筋肉に力が入っているオンの状態から、力を抜いてオフに切り替えるようにしましょう。

 

疲れをためない

筋肉がエネルギーを使って活動すると、筋肉内に「疲労物質」が溜まります。(乳酸や二酸化炭素などの代謝産物)

疲労物質が筋肉に溜まると、筋肉は柔軟性がなくなって硬くなります。

疲労状態から回復すれば、もとのやわらかい筋肉に戻るはずなのですが、休息が少ない人は疲労が蓄積しすぎてやわらかい筋肉に戻れません。

疲労が溜まった筋肉はどんどん硬くなり、筋線維の癒着や線維化を起こして「コリ」となっていきます。

疲労を溜めないように、しっかりと「休養」をとるようにしましょう。

 

適度な運動

疲労が溜まって硬くなった筋肉は血行が悪くなっています。

ですから運動不足では、筋肉内に酸素や栄養に満ちた血液が入らず、乳酸や二酸化炭素などの疲労物質が筋肉外へ出ていかなくなっています。

筋肉内の血液を循環させるために何か運動をしてみましょう。

頚性うつの人の身体は緊張してこわばっていることが多いですから、筋トレやランニングなど強めの運動よりも、身体をリラックスさせるヨガやピラティス、太極拳などがおすすめです。

(僕が患者さんにおススメしているイチ押しは「フラダンス」です。ハワイアンのリズムが身体をリラックスさせますし、フラの動きは骨盤と股関節周りの強化にもなります。)

 

不良姿勢を避ける

首こり、肩こりは「姿勢」との関係が大きいです。

現代人はスマホ、パソコンなどを見る機会が非常に多く、首や背中の筋肉にかなりの負担をかけています。

どれだけ良い姿勢をしていても、長時間同じ姿勢をしていれば筋肉は疲労してこりが出てきます。

そこに、背中が丸くなっていたり、頭が左右どちらかに傾いたりすると、さらに疲労度は増します。

 

PC作業、スマホを見る姿勢では首に負担をかけて首こり、肩こりを起こしやすくなりますし、猫背やストレートネックでは頚椎の前に位置する自律神経を圧迫してしまいます。(首こり、肩こりと自律神経失調症の同時発生)

 

他には「寝る時の姿勢」は非常に重要です。

寝る時は原則として「仰向け」です。「横向き」や「うつ伏せ」はおススメできません。

(うつ伏せは最悪です。詳しくはこちらの記事をお読みください。 → え? アナタ、うつ伏せで寝てる人?? )

 

不良姿勢は筋肉への負担が大きいだけでなく、骨格のズレや歪みを引き起こしてこりを作る大きな原因です。

頚椎や首の筋肉を痛めてこりを作る悪い姿勢の例をこちらの記事でまとめてありますので、合わせてお読みください。

→ 首こり、肩こりを悪化させないために ~やってはいけないNG集~

 

セロトニンを増やす

心理状態を安定させるには、脳内で「セロトニン」の濃度を一定に保つ必要があります。

「セロトニン」は脳や腸で作られる神経伝達物質のひとつで、不足すると不安やパニック障害、うつなどの精神症状を引き起こすと言われています。

「セロトニン」は、ゆっくりとした一定のリズムで、継続する動き、を行なうと活性化することが研究で分かっています。

ゆっくりとした一定のリズムで、継続する動き、ですから、前述のような太極拳、ヨガ、フラダンスなどは、やはりおススメです。日常で簡単に始められるものとしては、ウォーキングなどがよいでしょう。

咀嚼運動も「セロトニン」を増やします。

食事の時に「よく噛んで食べる」というのは、消化に良いだけでなく「脳」にも良いんですね。

あとは「呼吸」の深さとリズムも「セロトニン」を増やすために重要です。

一定のリズムで、継続して行う呼吸ですから「読経」や「歌うこと」で脳内のセロトニン濃度が高くなることが研究で分かっています。

生活習慣を整える

自律神経のバランスが崩れがちの方は「生活習慣」を見直してみましょう。

「頚性うつ」、「頚性神経筋症候群」の患者さんの多くは、運動不足、睡眠不足、夜更かし、不良姿勢などの悪習慣を改善することで症状の安定がみられます。

筋肉の過緊張、こわばり、コリ感が強い方は、身体をリラックスさせるために、「お風呂にゆっくりつかる」、「腹式呼吸を心がける」なども有効です。

 


多くの病気に当てはまることですが、強度のこり症状、自律神経失調症状、精神症状の3つが合併した「頚性うつ」も、生活習慣を見直して改善することが快方に向かうきっかけとなります。

焦ることなく少しずつ、自己養生をして治していくようにしましょう。

 


 

頚性うつ、頚性神経筋症候群の治療法についてはこちらの記事でまとめてあります。合わせてお読みください。

→ 頚性神経筋症候群、頚性うつを治すにはどうしたら良いですか? ~治療法の例

 

こちらの記事では、当院で行なっている治療法の例をご紹介しています。

→ ストレスからくる頚性うつへの治療法 ~物理的ストレスからくる症状を取り除く~

 


 

当院では「初回無料カウンセリング」を行なっております。 詳細は以下のリンク先にて(画像をクリックしてください)。


 


【参考】

有田秀穂. 丹田呼吸法は前部前頭前野とセロトニン神経を活性化する. 臨床神経学, 2012, 52.11: 1279-1280.

有田秀穂; アリタヒデホ. 坐禅をセロトニン神経から読み解く. 臨済宗妙心寺派教学研究紀要, 2008, 6: 17-46.

小西正良; 吉田愛実. セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境. 大阪河﨑リハビリテーション大学紀要, 2011, 5: 11-20.

有田秀穂. セロトニン欠乏脳-キレる脳・鬱の脳を鍛え直す. Health and Behavior Sciences, 2005, 3.2: 123-129.