年代による「腰痛」の違い

国民生活基礎調査 腰痛 有訴者率

厚生労働省の行っている国民生活基礎調査によると、

「腰痛」の有訴者率は男性で104.1、女性で115.5(人口千対)となっています。

 

(下の表は平成28年の国民生活基礎調査 腰痛の有訴者率を抜粋したものです)

年代ごとに見ていくと、10~14歳では男性9.3、女性10.2ですが、

年齢が上がっていくにつれて有訴者率も上がっていきます。

 

何となく想像できると思いますが、

10代の方の腰痛と、40代の方の腰痛、80代の方の腰痛は同じものではありません。

ざっくりと説明すると、

若年者の腰痛は「筋肉」の障害が多く、

中高年になると「筋肉」、「関節」の障害、

高齢者になると「筋肉」、「関節」、「骨(の変形)」の障害が多くなっていきます。

 

少し詳しく説明すると、若年者の腰痛は「筋・筋膜性腰痛」が多いです。

筋肉に負荷がかかり過ぎ、筋肉や筋膜に炎症が起こって痛みが出てきます。

筋肉の障害ですからレントゲンを撮っても「異常なし」と言われることがほとんどです。

これらは一時的なものが多く、じゅうぶんに局所を休ませる、アイシングなどで炎症を鎮める、などで改善します。

 

中高年になると、上記のような「筋・筋膜性腰痛」と、

軟骨や椎間板、靭帯など「関節」の障害が合併したものが多くなります。

「椎間板ヘルニア」や「椎間関節症」など、加齢による変性と言われるものが増えてくるのです。

これらは変性の初期段階と考えられ、放置していると骨まで障害され、

「変形性腰椎症」に進行していく可能性があります。

 

高齢者になると、若年から中高年を経て、様々なところに加齢性変性が蓄積された病態に陥ります。

つまり、上述のような「筋肉の障害:筋・筋膜性腰痛」、

「椎間板ヘルニア」、「椎間関節症」などと、骨の障害:変形性腰椎症が混在した状態です。

もしも、腰椎の変形が進み、背骨の中を通っている脊髄を障害するようになると「腰椎脊柱管狭窄症」という病態になります。

 

このように腰痛には様々な病態があり、しかもそれらが混在しているケースがほとんどです。

ですから、腰痛の治療を進めていくためには、

「筋肉だけの問題なのか?」
「筋肉と関節の問題が混在しているのか?」
「骨の変形はどの程度、関わっているのか?」

などを考慮し、治療法を組み立てていかねばならないのです。

 

筋肉の問題が大きく関わる「筋・筋膜性腰痛」であれば、

上述のように局所をじゅうぶんに休ませたりアイシングをしたり、

マッサージを受けて筋肉をほぐしたりすることでほとんどは改善しますが、

関節や軟骨、靭帯などが関わってくるとそれだけでは治りにくくなってきます。

 

(「以前は、マッサージ受けて揉んでもらったら楽になってたんですけど、最近は揉んでもらっても痛みがあまり取れなくなってきて…」という患者さんが来院されるのですが、そういう事です。)

 

腰痛の病態を的確に把握し、

それに応じた治療を行わなければ徐々に「変形性腰椎症」や「脊柱管狭窄症」へ陥ってしまう可能性が高くなります。

 

ですが、もしも「変形性腰椎症」、「脊柱管狭窄症」という診断を受けたとしても、

その病態に合わせた治療を行えば症状の改善は望めます。

 

まずは、ご自身の腰痛について
「何が どうなって 痛みが出てるのか?」を把握するところから始めましょう。

 

 


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参考: 元文芳和 著 · 2006 · 被引用数: 1 — 腰痛を診る. ―腰椎椎間板ヘルニアを中心に―. 元文 芳和. 伊藤 博元. 日本医科大学付属病院整形外科

参考: 平成22年 厚生労働省 国民生活基礎調査