ギックリ腰、寝違え、その他「痛みが急に出た場合」の注意点

「急に痛めた場合の対処法」を書いておきますので参考になさってください。

(※タイトルは「ギックリ腰」、「寝違え」としておりますが、「急に痛めたもの」であれば同じように対処してください)


痛みが出た「きっかけ」があるかどうか?

「朝、起きたら痛かった」

「物を持ち上げようとして、ギクッときた」

「くしゃみをしたら痛みが出た」

など、何らかの「動作」によって痛みが出た場合、中で「キズが出来ている」と考えられます。

「キズ」があれば、動かすと傷口が開くので痛みが出ます。

ですから、動かしてはいけません。

たまに、「〇〇が痛いんやったら動かした方がええで!」とアドバイスされ、その通りにして悪化する…というケースがありますので気をつけてください。

(※こちらの記事を参考に → 『ヒョウ柄を着た名医』 )

 

もしも可能であれば、「整形外科」を受診し、レントゲンを撮ってもらいましょう。

稀に「微細骨折」、「圧迫骨折」など、骨に損傷を起こしている場合もあります。

 


何もしていないのに痛めることがあるのか?

 

問診の際、患者さんに

「何かしましたか?」とお聞きして、

「何もしてません!」という方がいらっしゃいますが、詳しく問診をしていくと、

「寝てて、ちょっと姿勢を変えた時に…」とか

「座ってて、ちょっと姿勢を変えた時に…」とか

「ちょっと振り向いた時に…」など、

何らかの「動作」を起こしている場合がほとんどです。

 

「何もしてません!」というのは、

「日常で、いつもやってることなので、特別なことはしていない」

という意味のことが多いんですね。

ですから、何らかの「動作」を起こして、それがきっかけになっているはずです。

(※ もしも本当に「何もしていない」のに、急激な痛みが出てきているのであれば、内科的疾患や悪性腫瘍などを疑わないといけないことがありますので、すぐに病院を受診することをお勧めします。)

 

「動作」で痛めているのであれば、そこには「キズ」が出来ているはずなのです。

その「キズ」が、どこに出来ているのか?によって、治癒するまでの期間が変わります。

キズが出来ている場合、「魔法のように、すぐに、痛みが消える!」ということはありませんので、

まずは、「医学的に順当な期間で治す」「こじらせて長期化させない」ということを考えねばなりません。

(※ しつこいですが、こちらの記事を参考に → 『ヒョウ柄を着た名医』 )

 


ズキっとした痛みがあるかどうか

ポイントの一つ目は、「ズキっ」という感じの痛みが出るかどうか、です。

鋭い、瞬間的な痛みが出る場合は、内部でどこかが傷ついている可能性が高いです。

たいていは、動作に伴う痛み(寝返り、立ち上がったり座ったりなど、動作の切り替えの時が多い)ですから分かりやすいと思います。

動作によって「キズ口」が開き、痛みが出るワケですから動かしてはいけません。

(※詳しくはこちらの記事を参考に → 動かすと痛い ~筋肉の場合~ )

 


ズキズキした痛みがあるかどうか

ポイントの二つ目は「ズキズキとした痛み」があるかどうか、です。

痛めてキズが出来た筋肉や靭帯、関節などは、その後「炎症」が出ます。

簡単にいえば「腫れてくる」ということです。

腫れてきて、熱を持ち、内圧が高くなってくるので「ズキズキ」痛みが出ます。

じっとして動かさなくても「ズキズキ」とした痛みが出る場合はかなりの重症と思ってください。

だから、動かしてはいけません。

まずは「炎症」を抑えることが重要になってきます。

(※ そういう方は、必ずこちらの記事を読んでください! → 応急処置の基本(RICE処置) )

 


 

上記の記事にも書いてありますが、急性期で炎症が強く出ている時には「アイシング」が有効です。

(※ こちらも参考に → アイシングにはどのくらいの時間が必要か?

 

しかしながら、1~2日の間、安静にするだけ、アイシングするだけで、痛みが消えることは稀です。

何度も書きますが、「キズ」が出来ているワケですから。

擦り傷、切り傷と同じように、キズがふさがって、きちんと修復されて、ちゃんと治るまでには、それなりの時間が必要です。

ギックリ腰や寝違えなども同じで、傷めた部分によりますが、

筋肉なら2~3週間、靭帯なら3~5週間、軟骨を含めて関節ならそれ以上の時間が修復にはかかります。

(「修復」にかかる時間ですので、痛みはもっと早期に取れる場合が多いです)

 

 

 


 

「すぐに痛みが消える方法は無いの?」と誰しもが考えるのですが、残念ながら魔法のように治る方法はありません。

「抱えられて行ったのに、治療してもらったら歩いて帰ることが出来た!」みたいな話もありますし、当院でもそういうことは珍しいことではないのですが、「痛みがゼロになる」ということはあり得ないです。(切り傷がその場で治る!みたいなことはあり得ませんから)

ですから「医学的に順当な期間で治す」「こじらせて長期化させない」ということを最優先して考えるべきです。

 

そのために、しつこいようですが「無理に動かさないこと」が重要です。

急性期に、動かすことで痛みが消えることはありません。(マシになった気がする程度のことが大半で、動かすことで良くなることは、まずないです)

 


やっちゃいけないことは?

 

よくあることなのですが一番良くないのは、患者さん自身で、あれこれ動かして「痛みを確認」しちゃうことです。

「曲げると痛いな」とか「伸ばすと痛いな」とか、自分で痛いことを再現しちゃったりしてます。

これはつまり「自分で傷口を広げてる」ということになりますので、余計に悪化させてこじらせてしまうかもしれません。

 

あと「お風呂」ですが、上記のように「炎症がある」「腫れている」という状態ですから好ましくありません。

(※ こちらの記事に詳しく書いてます → お風呂に入っても良いですか? )

温刺激が心地よければ、防御反応を起こして硬くなった筋肉が緩んで、

「温めると痛みがマシになるような気がする」という程度のもので、「痛みがゼロ」になることはありません。


当院では、まず「こじらせないようにする」、「医学的に順当な期間で治す」ということを、急性期(痛めてすぐの時期)には考えます。

 

「ズキっとした痛み」や「ズキズキする痛み」が消えてきたら、ある程度「キズ口」が修復されてきたと考えられますが、すぐに動かすのではなく、状況に合わせて「リハビリ」を行います。

 

そして「何故、痛めたのか?」という根本的な原因を探して(骨格的な問題、筋肉の問題などが多い)処置を行っていきます。

 

あとで、

「実は椎間板ヘルニアがあった」とか、「脊柱管狭窄症があった」とか、「変形性関節症」があったとか、

様々な問題が隠れている場合もありますので、痛みが無くなってからが重要でもあります。

 


 

傷めてすぐの「急性期」には動かさず、何とかその場をしのぐしかないかもしれませんが、

傷める身体には、それなりの原因があります。

単に「その場しのぎ」で済ませずに、しっかりと治していきましょう。

 


こちらも参考に → 朝、起きると首が痛い…。