「うつ」を改善させる生活習慣 ~食生活とリズミカルな運動でうつを解消

好きなことに興味が持てない、前向きに考えられない、思考力が低下する、疲れているのに眠れない、食欲がない、など、脳の活動性停滞して、色々な物事に対して意欲が下がってしまった状態を「うつ」、「うつ病」、または「抑うつ状態」といいます。

生きていれば様々な不安やストレスがあるのは当然のことで、それらが解消すれば「うつ」は消えていくものですが、何日も続く、途切れなくストレスを受けるといった場合、なかなか「うつ」が改善されません。

「うつ」は精神的な症状と身体的な症状の両方がみられるようになると、悪循環に陥りなかなか回復するのが難しくなります。そのような場合は、何らかのきっかけを糸口にして回復させるようにしなければなりません。

セロトニンの減少がうつの原因

うつの原因や症状のあらわれ方は人それぞれ違いますが、うつ状態にある人の脳内では神経伝達物質である「セロトニン」が不足していることがわかっています。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、正負の感情のバランスや睡眠に深くかかわる物質です。

正負の感情に関与する神経伝達物質の代表的なものは「ノルアドレナリン」と「ドーパミン」です。

ノルアドレナリン

ストレスを受けた時に分泌され、身体を緊張させ、気持ちに積極性を持たせます。
過剰になると攻撃性が高まり、パニックやヒステリーを起こすことがあります。不足すると無気力になり意欲減退がみられるようになります。

ドーパミン

意欲を高める働きがあります。喜びや達成感、快楽にも関与し、過剰になると依存症(アルコール、買
い物など)や過食を起こすことがあります。不足すると物事に無関心になり、性機能低下や運動機能の低下につながります。

セロトニン

アドレナリンとドーパミンの2つのバランスを調整し、過剰にならないように働いています。不足すると感情のコントロールがうまくいかず、平常心が保てなくなるようになります。

セロトニンの分泌を促す生活習慣

セロトニンは、自然界のリズムに沿った規則正しい生活を送ることで正常に分泌されます。うつ状態に陥ると、うまく眠れなくなったり、動きたくなくなったり、食欲が湧かなかったりと、生活リズムが崩れがちになります。セロトニンを増やす方法として研究で明らかになっているものは、朝日を浴びる、適度な運動、良質な睡眠、などがあります。出来るところから少しずつでも構いませんので、ご自身の生活の中に取り入れ、うつの改善に役立ててみましょう。

日光を浴びる

太陽の光を浴びるとセロトニンの分泌が促されることがわかっています。特に朝に日光を浴びると、体内時計がリセットされて眠気が取れるので、その日いちにちの活動性が高まります。朝日を浴びる習慣をつけていくと睡眠の質も上がり、うつ状態の改善にはさらに効果的です。
全身に朝日を浴びるのが望ましいですが、太陽光が網膜を経由して脳を刺激することでもセロトニンを分泌させてくれます。窓越しでも構いませんので、朝起きたらカーテンをあけて朝日を見るようにしてみましょう。

リズミカルな運動 呼吸、咀嚼、ウォーキング

一定のリズムで行なう運動がセロトニンの分泌を促すことが分かっています。日常的に行なえるものとしては「ものを噛む」、「呼吸する」などです。
食事の時に、ゆっくりと、よく噛むようにすると脳が活性化されセロトニンが旺盛に分泌されます。ガムを噛むのも有効です。
呼吸は、意識していない日常の呼吸だけでなく、「深呼吸」、「腹式呼吸」を行なうようにしましょう。うつ状態になると呼吸が浅く、早くなりがちです。ゆっくりとしたリズムで深い呼吸を行なうことがセロトニン分泌を促します。
ウォーキングなどの運動はとても有効です。通勤、通学や買い物で歩く…というのではなく、ウォーキングだけの時間を取り、運動に集中することでさらに効果が高まります。

セロトニンの材料となるトリプトファンは体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。決まった時間に食事を摂るようにすると、体内時計が整いやすく精神安定にも効果的です。

うつの改善につながる食材

うつの改善には食事からしっかり栄養を摂取する必要があります。特に、脳の活性化や脳内物質の合成に必要な栄養素を含む食材は積極的に摂り入れ、不足しないように注意しましょう。

トリプトファンを多く含むもの

セロトニンの材料になるトリプトファンは、肉や魚、卵など、たんぱく質源となる食材に多く含まれています。コンビニ食やファストフードなどを習慣的に食べていると、糖質や脂質が過剰になる一方、たんぱく質が不足しやすいので注意が必要です。
牛肉、魚、卵、バナナ、納豆、みそ、など。

青魚

アジ、サバ、イワシ、サンマなどの青魚に含まれるDHAは、脳の働きを良くするといわれています。水煮の缶詰なら調理の手間が省け、栄養素も余すところなく摂取出来ます。

鉄を多く含むもの

うつ状態の人は、慢性的に鉄が不足している可能性があるといわれています。
鉄は、ほうれんそうや小松菜などの野菜類にも含まれていますが、より体内で利用されやすいのは、肉、魚、に含まれるヘム鉄です。赤身の肉や魚、レバーなどを積極的に摂取するとよいでしょう。

まとめ

うつを改善する生活習慣をご紹介しました。少しずつ、ご自身で出来る範囲で日常生活に取り入れてみましょう。

うつは脳内でのセロトニンの減少で起こるといわれていますが、昨今の研究で「首の筋肉のコリ」から起こるものがあることが分かってきました。
「首こり病」、「頚性うつ」というキーワードで検索するとみつかると思います。

「首こり病」、「頚性うつ」についてはこちらの記事: 首こりから起こる「うつ」 ~「頚性うつ」とはどんなものですか?~ を合わせてお読みください。