「腰痛」の分類 ~腰痛の原因にはどんなものがありますか?~

「腰が痛い」という方は非常に多くみられます。

厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」でも男性、女性ともに「腰痛」の有訴者率が第1位になっています。

参考: 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

 

「腰痛」を治すには、まず「原因」を見極めなければなりません。

この記事では、「腰痛の原因」について書いてありますので、ご自身の腰痛の原因を探る参考になさってください。

 


腰痛の原因分類

日本整形外科学会、日本腰痛学会が策定した「腰痛診療ガイドライン2019」では腰痛の原因を次のように分類しています。

【腰痛の原因別分類】

1)脊椎とその周辺運動器由来
腰部に位置する運動器(背骨、筋肉、関節:軟骨、靭帯、椎間板、関節包)の損傷、炎症によるもの

2)神経由来
脊髄腫瘍・馬尾腫瘍など

3)内臓由来
腎尿路系疾患(腎結石・尿路結石・腎盂腎炎など)
婦人科系疾患(子宮内膜症など)
妊娠

4)血管由来
腹部大動脈瘤
解離性大動脈瘤など

5)心因性
うつ病
ヒステリー など

6)その他

 

分かりにくいですね…。

かなり大雑把ですが、「腰自体に原因がある腰痛」と「腰以外に原因がある腰痛」という分け方をすると分かりやすいでしょう。

「腰自体原因がある腰痛」というのが、「1)脊椎とその周辺運動器由来」のことです。

「腰以外に原因がある腰痛」というのが、2)~6)になります。

 

「1)脊椎とその周辺運動器由来」はさらに細かく分けられます。

 

1)脊椎とその周辺運動器由来
– 脊椎腫瘍(原発性・転移性腫瘍など)
– 脊椎感染症(化膿性椎間板炎・脊椎炎・脊椎カリエスなど)
– 脊椎外傷(椎体骨折など)
– 腰椎椎間板ヘルニア
– 腰部脊柱管狭窄症
– 腰椎分離すべり症
– 腰椎変性すべり症
– 代謝性疾患(骨粗しょう症・骨軟化症など)
– 脊柱変形(側弯症・後弯症・後側弯症)
– 非化膿性炎症性疾患(強直性脊椎炎・乾癬性腰痛など)
– 脊柱靭帯骨化
– 筋・筋膜性
– 脊柱構成体の退行性病変(椎間板性・椎間関節性など)
– 仙腸関節性
– 股関節性

 

余計に分かりにくくなってきたかもしれませんね…。

ざっくり言うと、腰部に位置する運動器(背骨、筋肉、関節:軟骨、靭帯、椎間板、関節包など)のうち、どこに損傷がみられるのか?炎症がみられるのか?という観点で分けられています。

 

さらに、これらは単独で発生しているわけではなく、複数が絡み合って発生しているケースが多いです。

例えば、筋肉が硬くなって傷めてしまい(筋・筋膜性腰痛)、腰椎の配列が乱れてしまい(椎間板性、椎間関節性)、腰椎と腰椎の間の椎間板がズレてはみ出て(腰椎椎間板ヘルニア)…と、合併している人も多いのです。

そのような場合では、筋肉をマッサージするだけでは効果が出にくいでしょうし、炎症を抑えるお薬だけでは腰椎の配列の乱れは改善しません。

原因が複数が絡み合って発生している腰痛に対しては、ひとつひとつに対して治療を組み立てていく必要があるわけですね。

要するに、「筋肉に問題があるのか?」、「骨に問題があるのか?」、「配列に問題があるのか?」、「関節(軟骨や関節包)に問題があるのか?」、「筋肉にも関節にも配列にも問題があるのか?」ということを踏まえたうえで治療法を組み立てる必要があるということです。

 

(上記の各論と治療法については別記事にて)

 


【ギックリ腰についての補足】

上記の「腰痛原因の分類」を見ていただければわかると思いますが、この中に『ぎっくり腰』というものはありません。

広辞苑で『ぎっくり腰』を調べると、「腰をひねったり中腰で重い物を持ったりした時に急に起こる腰の激痛の総称」と書いてあります。要するに「何かきっかけがあって、急に出てくる腰痛」です。ギクッと傷めたのが、骨なのか?筋肉なのか?関節なのか?ということを見極めて治療を組み立てないといけないわけです。

「ギックリ腰」について詳しくはこちらの記事で → ギックリ腰

 


【参考】 今日の臨床サポート