Q&A 自律神経失調症

このページでは、みなさまから寄せられた質問、患者さまからよくある質問に対して、わかりやすく解説しています。

(随時更新中)


自律神経失調症とはどんな病気ですか?

自律神経失調症は「病名」ではなく自律神経のバランスが崩れて、心身に何らかのつらい症状が出ている状態のことです。

自律神経は、我々が意識せずとも身体が生命活動を維持できるように内臓や血管の働きを調節してくれています。

自律神経のバランスが悪くなると内臓や血管の働きが悪くなるため、様々な症状が出てきてしまいます。

 

自律神経失調症でみられる身体症状

疲労感、倦怠感、めまい、耳鳴り、慢性的な肩こり、腰痛、頭痛、動悸、息切れ、下痢、便秘、腹痛、吐き気、しびれ、火照り、多汗、頻尿、残尿感

 

自律神経失調症でみられる精神症状

憂うつ、気分の落ち込み、やる気が出ない、興味、関心の低下、不安感、焦燥感、イライラ

 

バランスが悪くなる原因として挙げられるのは、ストレスや疲労、睡眠不足など生活習慣の乱れなどですが、何らかの病気がもとになって起こることもあります。

 


自律神経って何ですか?

我々の身体の神経には3種類あります。筋肉を動かす「運動神経」、冷たい・熱い・痛いなどを感じる「感覚神経」、内臓や血管(一部ホルモンに関わる)を調節する「自律神経」です。

自律神経には2種類あり、身体を動かす時に働く「交感神経」と、身体を休めて回復させる時に働く「副交感神経」があります。

この2つの神経によって各内臓は調節され、正常な状態を維持するためにバランスを取っています。

 


「自律神経失調症」ではないかと思っています。「何科」を受診すれば良いでしょうか?

まずは、一番つらく困っている症状に合わせた診療科を選んで受診されることをおすすめいたします。

例えば、胃痛、下痢、便秘、嘔吐などであれば「消化器内科」、息切れや動悸、胸痛であれば「循環器内科」、めまい、耳鳴りであれば「耳鼻科」、首の痛みや肩こり、首こりであれば「整形外科」など、症状に適した診療科を受診しましょう。

そこで「原因となる疾患」がみつかればその治療が優先されますし、みつからなかったとしても「対症療法」として症状の緩和も見込まれます。

憂うつ、気分の落ち込み、やる気が出ない、興味、関心の低下、不安感、焦燥感、イライラなどの精神症状が目立つ場合は、心療内科やメンタルクリニック、精神科への受診するのが良いでしょう。

 

こちらにご自身で出来る「自律神経失調症チェックリスト」がありますので、まずは現在の状態を把握してみましょう。

→ 自律神経失調症チェックリスト

 


病院で自律神経失調症と言われました。どうすれば良いですか?

前述のように自律神経失調症は病名ではありません。自律神経に調節されている内臓や血管、器官に、自律神経のバランスが崩れることで様々な症状、不具合が出てきた状態のことです。

その自律神経失調症状が「何らかの病気」からくるものなのか?、それとも「ストレスや生活習慣の乱れ、疲れ」など病気ではないものからくるものなのか?で治療も医療機関での対応も変わります。

※ 補足 以下の3つを満たす場合に「自律神経失調症」とされます。

1.さまざまな自律神経症状が認められる
2.検査で身体疾患が認められない
3.明らかな精神障害が認められない

 

もしも、検査で何らかの病気がみつかり、その病気から自律神経失調が起こっているのであれば、その病気の治療が優先されます。自律神経失調症状を起こす疾患としては、ホルモンが関与するもの(更年期障害など)、パーキンソン病、レビー小体型認知症や、うつ病や不安症などの症状の一部としてみられることもあります。

しかし、必要と思われる検査をしても病気が見つからない場合や、「ストレスや生活習慣の乱れ、疲れ」などの関与が大きいと思われる場合には、これらを改善するための「ストレスコントロール、日常生活習慣の改善、じゅうぶんな休息など」を行ない、様子をみていくというパターンが多いようです。

単に「自律神経失調症ですね。」と言われただけであれば、何かの病気ではないということと思われますので、まずは「ストレスや生活習慣の乱れ、疲れ」に注意した生活に切り替えていくことからはじめてみてはいかがでしょうか。

 


自律神経失調症の原因は何ですか?

自律神経失調症の明確な原因ははっきりとしていませんが、ストレス(肉体的、精神的)や疲労の蓄積、睡眠不足などの生活リズムの崩れ、栄養バランスなど様々なものが関与していると考えられています。

 


「自律神経失調症」にはどんなものがありますか?

自律神経失調症には大きく4つのタイプに分けられ、タイプによって特徴や性格、傾向、心理的状態などで違いがあります。(下記参照)

 

◇本態性型自律神経失調症

傾向、性格: 生まれつき自律神経の働きが乱れやすい。

特徴: 低血圧、虚弱体質、体力的に余裕がなく疲れやすい人に多い。

◇神経症型自律神経失調症

傾向、心理的状態: 心理的な問題から体調への影響が出やすい。

特徴: 自身の体調について敏感な人 くよくよしがち、神経過敏の人に多い。

◇心身症型自律神経失調症

傾向、性格: ストレスを我慢しがち、抑圧し過ぎる。ストレスが溜まり過ぎて起こる。

特徴: 頭痛、微熱、倦怠感など風邪の症状に似た身体症状が出ることがあります。最も多くみられ、約半数がこのタイプと言われます。

◇抗うつ型自律神経失調症

心理的状態、性格: 慢性的なストレスの蓄積よって起こることが多い。うつ状態もみられる。几帳面で完璧主義の人に多い。

特徴: やる気が起きない、気分が沈むなどの症状に加え、食欲不振、不眠や頭痛、微熱、倦怠感など風邪の症状に似た身体症状が出ることがあります。

 

症状、タイプ、原因によって症状や悪化しやすい物事が違いますが心身両面の改善が出来るように、投薬、カウンセリングなどの心理療法などが行われます。また、治療と合わせて、日常生活習慣の改善、適度な運動、などの自己養生も行うことが推奨されています。