拘縮を防ぐ

筋肉は使わないと萎縮します。(廃用性萎縮と言います)
萎縮した筋肉では、筋線維の数が減り、細く短くなり、もろくなってきます。

関節固定肢位についての先行研究によると、『筋肉が短縮した肢位では筋萎縮が著しく、伸張した肢位では逆に筋肥大を起こす』という報告がされています。
(補足すると、短縮位では筋肉を構成しているタンパク質の合成が低下し分解が亢進するのに対し、伸張位では筋肉への張力刺激がタンパク質の合成を促進し、筋細胞を活性化するとされています。)

萎縮した筋肉は強度が下がってしまいますから日常生活でも容易にキズついてしまいます。(気づかないうちにも起こりえます)

キズついた組織はほとんどの場合、元通りの組織になることはなく、少し瘢痕化を起こします。

瘢痕化の領域が少なければほとんど問題にはなりませんが、何度も何度も損傷と修復を繰り返していくうちに瘢痕化の領域は大きくなってきます。

瘢痕化した領域が大きくなり、関節の動きを阻害するようになると「拘縮」が進行した状態となります。

 

別の研究によると関節の固定肢位は、筋肉の短縮位でも伸張位でも長期間になると筋タンパク質の分解が進み萎縮がみられ、萎縮を防ぐには、筋肉の短縮と伸張の反復が有効であるとされています。

つまりは「動かす」ということが必要なワケです。

障がいをお持ちの方は、自分で自分の筋肉を動かすことが出来ない「随意性麻痺」であることが多いです。

自分では動かすことが出来ないため、筋肉が短縮位となる姿勢で日常を過ごしておられます。
その状態が長くなればなるほど萎縮が進行してしまいますので、何らかの形で「動かす」機会を作らねばなりません。

萎縮が進行し、組織の変性が起こって関節拘縮までみられるようになっていても、筋肉や靭帯、関節包などの「軟部組織」は組織の改変の可能性を持っています。

変性して硬くなった組織でも、動かしているうちに軟らかい組織に改変されることがありますし、改変されずとも将来的な変形を遅らせることは可能と考えています。

訪問リハビリや訪問マッサージを活用することもアリですし、ご家庭でも動かしてあげるということも出来るでしょう。
拘縮が進み変形が強くなってくると、ご本人も日常で支障が大きくなってくるでしょうし、介護・介助されるご家族にも負担が増えてしまいます。

「出来るだけ動かす」

言うのは簡単で実行するのは難しいと思いますが、頑張ってみましょうね。

 

 

( こちらの記事も参考に → 変形性関節症 )


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