骨盤ケアの基本(妊婦・産後の方へ)

妊娠中に女性の身体には様々な変化が起こります。

特に骨盤は、妊娠中と産後では大きな変化がみられ、

時期とその状態に応じたケアが必要な場合があります。

【骨盤の変化】

妊娠から産後までの骨盤の変化は以下のようになります。

▷ 妊娠中、骨盤は少しずつ開く。

▷ 出産時、骨盤は大きく開く。

▷ 産後、骨盤は少しずつ締まる。

 

妊娠してから骨盤は、お腹の中の胎児を守りながら育てるために少しずつ大きくなります。

妊娠中には靭帯を軟らかくする「リラキシン」というホルモンが分泌され、両骨盤をつなぐ「仙腸関節」の周りの靭帯を緩ませて骨盤が開き、骨盤内の容積を増やしていくのです。

出産時には産道を拡げるために骨盤は更に大きく開き(この時に恥骨結合も開きます)、

出産後はリラキシンの分泌が減るため少しずつ時間をかけて(約半年)締まっていきます。

 


妊娠中の理想的な骨盤は 「適度に開き、適度に締まった状態」です。

骨盤が緩んで開いてくるということは骨盤にぐらつきが出てくるということです。

そうすると身体は過剰なぐらつきを防ぐために骨盤周囲の筋群を働かせて安定させようとします。(妊娠時の骨盤周囲や腰部の筋肉が硬くなりすぎることで痛みが出てくることもあります。)

逆に開きが悪い(仙腸関節の動きが悪い)と、出産時の骨盤の開きが不足し難産になることもあります。

上図のように骨盤の仙腸関節は左右あり、両方が適度に緩んで適度に締まりバランスの取れた状態が理想なのですが、左右のバランスが崩れていたり、開きすぎていたり締まりすぎていたりすると「骨盤が歪む」ということになるわけです。

ですから妊娠時には、

骨盤の仙腸関節が適度に緩み、適度に締まっていて、

左右のバランスが取りながら出産に備えるというケアをします。

 

産後、緩んだ仙腸関節は徐々に締まっていくのですが、しっかりと骨盤が安定するのに個人差はありますが、3ヶ月〜半年程度かかります。

 

つまり安定するまで骨盤は、ある意味「グラグラ」な状態なわけです。

そのような状態で偏った動きや偏った姿勢が続くと骨盤は歪んだままで締まってしまい、

歪んだ骨盤のままで産後の生活を送ることになってしまいます。

当然のことながら歪んだ骨盤では、上につながっている背骨が徐々に曲がってくる可能性がありますし、下につながる股間節や膝関節に負担が大きくなる可能性があります。

ですから産後、骨盤が安定するまでは

左右の仙腸関節がしっかりと締まってバランスが整うようにケアが必要なのです。

 


産後はどうしても「育児」、「家事」が優先してしまい、

ご自身の身体は後回し…というケースが非常に多いように思います。

上記のように歪んだ状態で固まってしまうと、その後で元の状態の戻すのが難しい場合もありますので、出来るだけ半年(最低でも3ヶ月)の間は骨盤の状態を整えておくことが望ましいでしょう。

 

(補足)

▷ 骨盤を整えるための治療が必要なこともありますが、ご自身でケアするための体操などもあります。

▷ セルフケアは、骨盤の状態(左右差、関節の締まり具合など)や時期に合わせて行うことが望ましいです。ご希望の方には個別で指導させていただきますのでご相談ください。