捻挫に関する包括ガイド ~くじいた、捻った~

この記事は、「捻挫」というケガについて知りたいと思っている一般の方、スポーツや日常生活で足をひねってしまった方、そしてそのご家族向けに一般的な情報を書いています。

このガイドでは、捻挫の基本的な知識から、症状、応急処置、適切な治療法、そして再発を防ぐための予防法までを、専門的な内容を分かりやすくお伝えします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状に関する診断や治療を保証するものではありません。ご自身の症状に不安がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

捻挫の概要

捻挫とは、関節に許容範囲を超える不自然な力が加わることで、関節を支えている靭帯や関節包といった組織が傷つくケガです。最も多く発生するのは足首の捻挫で、「足をくじいた」や「ひねった」といった表現が使われることが多いです。

捻挫は、軽度なものから重度なものまであり、損傷の程度によって以下のように分類されます。

  • 1度 靭帯が一時的に伸びた状態。軽度の痛みや腫れがあります。
  • 2度 靭帯の一部が部分的に切れた状態。痛みや腫れが強く、歩行が困難になることもあります。
  • 3度 靭帯が完全に切れた状態(靭帯断裂)。激しい痛みと腫れ、内出血が見られ、関節が不安定になります。

原因とメカニズム

捻挫の主な原因は、転倒や転落、スポーツ中の急な方向転換や着地などで、関節が不自然な方向にひねられることです。特に、平坦でない場所を歩いたり、ハイヒールを履いたりする際にも発生することがあります。

足首の捻挫は、内側にひねってしまう「内反捻挫」が圧倒的に多く、足首の外側にある靭帯(前距腓靭帯など)に大きな負担がかかることで起こります。この時、靭帯が一時的に引き伸ばされたり、部分的に、あるいは完全に断裂したりします。

症状

捻挫をすると、主に以下のような症状が現れます。

  • 痛み ケガをした瞬間に強い痛みが走り、その後も患部を押したり動かしたりすると痛みが強くなります。
  • 腫れ 炎症によって患部が腫れてきます。特に足首の捻挫では、外くるぶし周辺が大きく腫れることがよくあります。
  • 内出血 靭帯が切れたり、周りの毛細血管が傷ついたりすることで、皮下に出血が起こり、青あざができることがあります。
  • 関節の不安定感 靭帯が大きく損傷した場合、関節がグラグラするような不安定感を感じることがあります。

緊急性の高い症状

以下の症状が一つでも見られる場合は、捻挫ではなく骨折や靭帯の完全断裂の可能性もあるため、すぐに医療機関(整形外科)を受診してください。

  • 激しい痛みで体重をかけることができない
  • 患部の変形がある
  • 日に日に痛みや腫れがひどくなる
  • 関節がグラグラして明らかに不安定に感じる

診断方法

医療機関での診断は、問診、視診、触診、そして必要に応じて画像検査が行われます。

  • 問診と視診 どのようにケガをしたか、痛みや腫れの程度などを詳しく聞き取り、患部の状態を確認します。
  • 触診 医師が患部に触れ、痛みの場所や靭帯の損傷の程度を調べます。
  • 画像検査 レントゲン検査を行い、骨折や剥離骨折(靭帯に引っ張られて骨の一部が剥がれること)がないかを確認します。より詳細な診断が必要な場合は、MRI検査が行われることもあります。

治療法

捻挫の治療は、受傷直後に行う応急処置と、その後の本格的な治療に分けられます。

応急処置(RICE処置)

ケガをした直後に行うべき応急処置の基本は、「RICE(ライス)」です。

  • Rest(安静) 患部を動かさず、安静に保ちます。
  • Icing(冷却) 氷嚢などで患部を冷やし、炎症や内出血、腫れを抑えます。
  • Compression(圧迫) 弾性包帯などで患部を適度に圧迫し、腫れを軽減させます。
  • Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に上げ、血流を抑えて腫れを防ぎます。

医療機関での治療

  • 固定 損傷の程度に応じて、テーピングやサポーター、ギプスなどで患部を固定し、安静を保ちます。
  • 薬物療法 痛みや炎症を抑えるために、湿布薬や内服薬が処方されます。
  • リハビリテーション 腫れが引き、痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもと、関節の柔軟性や筋力、バランス感覚を取り戻すためのリハビリを行います。

日常生活での注意点・セルフケア

捻挫を早く治し、再発を防ぐためには、セルフケアも重要です。

  • 無理をしない 痛みが残るうちは、無理に動かさないことが大切です。特にスポーツへの復帰は、医師や専門家の指示に従い、段階的に行いましょう。
  • 適切な靴を選ぶ 歩きやすい、足にフィットした靴を選びましょう。ハイヒールなど、足首に負担がかかる靴は避けるのが賢明です。
  • 冷やすか温めるか ケガをした直後(急性期)は冷やし、炎症が治まってから(約2〜3日後)は温めて血行を促し、回復を早めましょう。

予防法

一度捻挫をすると、「捻挫ぐせ」がついて再発しやすくなることがあります。日頃から以下のことに気をつけて、予防に努めましょう。

  • ウォーミングアップとストレッチ 運動前には、手首や足首の柔軟性を高めるストレッチを十分に行いましょう。
  • 筋力トレーニング 足首周りの筋肉(特に腓骨筋)を鍛えることで、関節の安定性を高めることができます。片足立ちをするだけでも効果があります。
  • サポーターやテーピング 不安定な関節には、サポーターやテーピングで補強することで、再発を防ぐことができます。

よくある質問(FAQ)

Q1 捻挫と骨折はどう違いますか?

A1 捻挫は靭帯などの軟部組織の損傷、骨折は骨が折れるケガです。見た目だけでは判断が難しいため、強い痛みや腫れがある場合は医療機関を受診しましょう。

Q2 湿布だけで治りますか?

A2 湿布は痛みや炎症を和らげる効果はありますが、捻挫を完全に治すものではありません。特に中等度以上の捻挫では、医師による適切な治療が必要です。

Q3 捻挫がくせになるって本当ですか?

A3 捻挫が治りきらないまま放置すると、靭帯が伸びた状態になり、関節が不安定になります。これが再発を招きやすくなるため、適切な治療とリハビリが非常に重要です。

Q4 どのくらいの期間で治りますか?

A4 捻挫の程度によって異なりますが、軽度であれば1週間、中等度では数週間、重度では数カ月かかることもあります。

Q5 病院に行くべきタイミングは?

A5 強い痛みや腫れ、体重をかけられない、関節がグラグラするなど、症状が重いと感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。