ストレートネックが原因の首こり、頭痛、吐き気の対処法、自分で出来るストレッチ法の解説

ストレートネックという言葉をよく耳にするようになってきました。

「スマホ首」という別名があるように、スマートフォンやタブレット端末などの普及から使い過ぎて首が痛くなったり首こりを起こす人が増えたからなんでしょうね。

整形外科の分野ではストレートネックの概念は古くからあり、頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症の素因となることが知られています。

首こりや肩こりは一般的にもよくみられる症状ですが、骨格的にストレートネックになっている人は首こりだけでなく頭痛や吐き気、めまいなどの自律神経失調症状がみられることが多くなります。

この記事ではストレートネックの人が注意すべき点と対処法、自宅で出来るストレッチ法をご紹介します。

ストレッチ法は当院で患者さんに指導させてもらっているものなので、これをお読みの方もぜひ実践してみてください。

 

ストレートネックとはどんなものですか?

 

正常な頚椎は適度なカーブ(生理的前弯)を持ち、その角度は30~35度の範囲と言われています。

そのカーブが真っすぐな状態に近づき、角度が30度以下になったものを「ストレートネック」と言います。

 

生理的前弯は頭の重量を支えるクッションの働きもしています。

ストレートネックでは、そのクッションの働きが悪くなるため首への負担を受けきれず、首回りの筋群の疲労、過緊張などがみられるようになります。

頭部は体重の約1/8の重さがあり、首はに常に負担がかかっています。

ストレートネックの人はカーブが少なくなっているためさらに負担がかかってしまうのです。

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ストレートネックの原因

ストレートネックの原因には以下のようなものがあります。

遺伝的素因は変えられませんが、日常生活習慣はあらためることでストレートネックも改善が期待出来ます。

当てはまる方は変えていくようにしましょう。

 

遺伝的素因

骨格、筋肉の質(赤筋、白筋のバランス)などは、ある程度遺伝的に決定されているので「ストレートネックになりやすい人」がいるのは確かです。

これを変えることは出来ませんし、以下のような日常生活の要因がプラスされてストレートネックが悪化してしまいます。

 

運動不足による筋力低下

運動不足は身体の血行が悪くなるだけでなく、筋力低下を起こすようになります。

筋力が弱くなると日常の作業でも疲労が出やすく、溜まりやすくなって首こりを感じやすくなります。

 

首への負担が大きくなる姿勢、動作

長時間のデスクワーク、パソコンやスマホの使用などは首すじの筋肉への負担が大きく、その蓄積によってこりが強くなっていきます。

枕の高さが合わないことも首こりの原因となります。高枕や横寝、うつ伏せ寝も頚椎への負担が増えるため首すじの筋肉の過緊張を引き起こします。

 

注意! 高い枕は首を痛めてしまいます

「高い枕」で寝た状態です。

高まくらで寝ると、頚椎のカーブが少なくなり(さらにストレートネックの状態)、後頭下筋群を含めた首の後ろの筋肉を引き伸ばした肢位になります。

筋肉は引き伸ばされると反射的に収縮しようとしますので、高まくらの肢位では首の筋肉は過緊張を起こしコリを作りやすい状態になります。

高まくらの姿勢のように首の筋肉を引き伸ばすのは、眠る時だけでなくソファで横になってくつろいでいる時なども当てはまりますのでご注意ください。

※ 首を痛めないための寝方についてはこちらの記事: 頚部を守るために ~やってはいけないNG集~ を読むだけでも軽度のストレートネックは予防できますよ。

 

パソコン、スマホなどの見過ぎ

デスクワーク、パソコンやスマホなどで目を使い過ぎると「眼精疲労」を起こします。

眼精疲労は目の症状だけでなく、首こり、肩こり、自律神経失調症状の原因となります。

適度に目を休め、時には「全く使わない」という選択をするのも必要かもしれませんね。

 

前かがみ、背中が丸くなる姿勢(猫背姿勢)

パソコン作業やデスクワークで集中していると背中が丸くなってしまうことがよくあります。

前かがみ、猫背姿勢は重たい頭が前に傾き首すじの後ろの筋肉に負担が大きくなるためコリが強く出てきます。

猫背とストレートネックは合併しやすく、そのため症状も強くあらわれます。

場合によっては猫背の治療が必要になります。

 

 

ストレートネックでみられる症状

ストレートネックでこりがあらわれやすい場所を図で示してみました。

 

「うなじ」の辺りのこりが強くなると、頚椎の横を通る自律神経(交感神経節)を締めつけたり圧迫してしまい、めまいや吐き気などの自律神経失調症状がみられるようになります。

「あたまの後ろ」は後頭下筋という筋肉のこりで、頭痛(緊張性頭痛や片頭痛)、目の奥の痛み、耳鳴りなどの原因となります。脳への血液・酸素供給不足から嘔吐中枢が刺激され吐き気を起こすこともあります。

「首すじの横」は斜角筋という筋肉があり、その筋肉の間からは腕へつながる神経が通っています。

そのためこの部分がこり過ぎると神経が圧迫され、手のだるさや痺れが出てくることもあります。(斜角筋症候群といいます)

 

ストレートネックから起こる頭痛を改善するストレッチ

頭痛の原因となる後頭下筋は深部にあるため伸ばしにくい筋肉です。一般的な「筋肉を伸ばすストレッチ」は効果が出にくいことが多いです。

後頭下筋をゆるめるためには「緊張(筋収縮)」と「緩和(脱力)」を交互に繰り返す「漸進的筋弛緩法」が効果的です。

「漸進的筋弛緩法」の具体的な方法はこちらの記事: ガチガチに硬くなった後頭下筋を緩めるストレッチ で解説していますので合わせてお読みください。

 


 

当院でのストレートネックへの治療例

当院ではストレートネックを、頚椎可動性の低下、頚部筋群の線維化、癒着として捉え、頚椎配列の正常化と筋線維化、癒着の除去を目的としたアプローチを行なっております。

詳しくはこちらの記事「後頭下筋への治療について」をお読みください。

 


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