顎関節症の分類

運動器系(骨、骨格、関節、靱帯、筋肉、など)の障害を理解するために「顎関節症」を例にとると非常に参考になります。
日本顎関節学会の「顎関節症の症形分類(2001年改訂)」によると以下のように分類されています。
(※2013年に「顎関節症の病態分類」2014年に「顎関節症診断基準」が出され、少し古いものになりますが、顎関節の以外の運動器系の障害を理解するには十分だと思います)

顎関節症Ⅰ型(咀嚼筋痛障害)

筋肉の症状が主体のもの
X線を撮っても、骨の変形や関節の異常はみられないもの
筋肉の過使用だけでなく、悪習慣によるものや、ストレスによる過緊張なども原因と考えられている

顎関節症Ⅱ型(関節包、靱帯障害)

外傷性のもの(打撲、叩打など明らかな外力が加わったもの)
無理な開口、咀嚼、偏側的な使用などにより、関節周囲へのストレスによる障害とみられ、靭帯損傷、関節包損傷、円板挫滅、関節捻挫など顎関節の「慢性外傷性」病変である
X線像で骨の変形性所見がみられる場合は除外される

顎関節症Ⅲ型(顎関節内障)internal derangement of TMJ

下顎頭―円板複合体を含むバイオメカニカルな顎関節内部障害
多くは関節円板の生理的位置からの運動時の逸脱(一時的もしくは永続的)による機能障害を呈する
X線像で骨の変形性所見がみられる場合は除外される

顎関節症Ⅳ型(変形性顎関節症)

顎関節を構成している組織に変形(変性)が生じている状態
骨組織の変形性所見(骨硬化像、骨吸収像など)が確認される場合はこのステージとみなされる

顎関節症Ⅴ型(上記以外のもの)

======================

筋肉の障害が主体の「顎関節症Ⅰ型」から徐々に退行性変性が進み変形性所見がみられるようになる「顎関節症Ⅳ型」への流れは、「機能性障害から器質性障害」への進行を理解するにはわかりやすいのではないかと思います。

これを、顎関節以外の関節を含む運動器系の障害に当てはめてみると、患者さんの病期・病態を理解し、適応・不適応を見極めたり、治療内容を決めていく参考になると思われます。