【参考資料】運動器系障害の病期分類 その②

【参考資料】運動器系障害の病期分類その①

 

上記の内容について、出来るだけ簡単に説明させていただきます。

結論から言えば、「運動器系障害(肩こり、腰痛だけではなく)は適切な処置をしないと、将来的には『変形性関節症』になる」ということです。
身体が傷んでいく場合は「軟らかいところから硬いところへ」と段階的に進行していきます。

1段階目は「筋肉の障害」です。筋線維の微細な損傷、筋肉の過緊張、筋内圧の上昇など、様々な病態が複合して進行していきます。

初期であれば筋線維の損傷程度で済みますが、進行していくと「トリガーポイント」と呼ばれる硬い筋組織へ変性することもあります。

トリガーポイントは押すと、局所だけでなく他部位への「放散痛」を発する特徴を持ち、慢性的な痛みやコリ症状、痺れなどの原因となります。(その他、自律神経失調症状や不快症状からくる「うつ」などの原因になることもあります)

変性した筋組織なので、正常組織に戻らない限り症状がなかなかとれないやっかいものです。

2段階目は「関節周囲組織の障害」です。筋肉よりも深いところに位置する靱帯や関節包(関節を包んでいる袋 中には関節液が入っていて摩擦を減らしている)などにまで微細な損傷が徐々に進行していきます。(1段階目と2段階目は合併していることが多いです)
これくらいの時期の症状の多くは鈍痛を呈する「肩こり」や「腰痛」が多く、ガマンしようと思ったら出来ないワケではなかったりするので、きちんとした処置を受けない患者さんが多いです。

1段階目、2段階目くらいの時期に、適切な処置をして損傷部が修復されれば良いのですが、それがうまくいかない場合、さらに病期は進行していきます。

3段階目は「関節内障害」です。筋肉や関節の周囲だけでなく、内部の「関節軟骨」まで損傷が進行した状態です。レントゲンを撮っても目立った所見はみられないことが多いですが、場合によっては「軟骨がすり減ってる」などと言われるケースもあります。

よく「レントゲンを撮っても異常なし」と言われるケースがありますが、「異常がない」というのは「正常」ということではありません。「レントゲンには写らない」ということですので、「骨には異常が(まだ)ない」ということです。(レントゲンには「骨」しかうつりませんから)

4段階目は「変形性関節症」です。骨にまで微細な損傷が広がり、そこが正常な形に修復されず変形してしまった状態です。ここまで病期が進行してやっと「骨が変形してる」とレントゲン検査で言われるわけです。正常な骨がいきなり「変形」することはありえません。徐々に損傷が進行して、十分な修復が行われなかった結果として「変形性関節症」になるわけです。

徐々に進行するものなので、ある年齢まで(何かの症状が出て、レントゲンなどの検査を受けるまで)その変形は見つかりません。なのでほとんどの患者さんが何らかの症状があっても適切な処置をしないか、放置です。
(その間にも徐々に病期は進行しているんです)

4段階目まで来ると骨が変形してしまっているので、ほとんどの場合、正常な骨の形には戻りません。重症例では骨を削ったり、人工関節にしたりという手術になります。
出来れば「1~3段階」までに、適切な処理をして、変形しないようにすると良いと思います。

当院では「3段階目」であれば、まずは「変形の進行を遅らせる」という治療の組み立てになり、経過をみながら「リペア能力(自己修復力)」を高めていき、その後リハビリなどを経て正常な骨組織への再生を促す、という組み立てになります。

骨組織を正常な形にまで再生するにはかなりの時間を要しますが、筋肉や靭帯、軟骨などへのアプローチを行うことで「痛みを取る」、「機能を取り戻す」という可能性はあるのです。

いずれにせよ「早期に処置をする」というのは重要な事です。
まずは「現状の確認」をさせていただければ、適切な治療、アドバイスをさせていただくことが可能です。